つい先日のブログに掲載したように、ジャズ・ピアニスト「ビル・エヴァンス」の登場を奇貨として、息を吹き返したJBLの「LE8T」。
実はこの1年間ほどいっさい出番が無くて「置いとくスペースがもったいないし、そろそろ処分しようかな・・」と思っていた矢先だった。他のスピーカーのレベルが上がり過ぎたことも大きな要因だ。
ところがやっぱり「LE8T」独特の世界というのがあるんですよねえ!
エヴァンスが命の恩人になって危うく延命できました(笑)。
このスピーカーを手に入れたのはまだ忘れもしない2年半ほど前のことだった。隣町にお住いの、「パラゴン」などを製作されている「S」さんから譲り受けたもので、その経緯について手っ取り早く当時のブログの要所を以下のとおり再掲してみよう。
「音声信号に対する反応が早くて音の切れ味が抜群。「こういう音はまったくJBLの独壇場ですねえ」と、ほとほと感心した。
この時点で、迷いなくSさんから箱を譲ってもらうことを決めた。
あとはSさんに頼んで「LE8T」の入れ替え作業をやってもらった。お借りしていた「8Ω」仕様からこの度落札した「16Ω」仕様への交換。
この際とばかり箱の内部を拝見させてもらったが、ていねいな内部補強をしてあり木材同士の接合にネジを1本も使わず、「ほぞ」を使うなど本格的な大工さん並みの工作ぶりだった。
こういう風に箱がしっかりしているから低音域がカチッと締まって弾んでくるんだと納得。
最後に、Sさんから貴重な「LE8T」の資料をいただいた。
この中にオーディオ界の大御所ともいうべき「菅野沖彦」氏(故人)による「改良後のLE8T」に対するコメントがあったので紹介しておこう。
「このスピーカーの素晴らしさは積極的に訴えかけてきながらバランスを損なわないで、きちんと全帯域にわたってコントロールされている点ですね。マルチウェイシステムに比べれば周波数レンジは狭いわけですが、それほどレンジの狭さは感じさせない。
特に高音域の繊細な弦の感じは不満なく出てくるんです。それに中音から低音にかけての積極的な押し出しもよく再現されますので、とりたててどこかに欠陥があるかと探しても見当たらないわけですね。
やはり全帯域型としてもっともウェルバランスでしかも万人が納得せざるを得ないようなソースの質感を素直に出してくれるスピーカーという感じです。
欲を言えばクラシックよりもジャズにちょっと不満があることです。テナーサックス独特のダーティなサウンドが出ずに、滑らかにしなやかになってしまうんですね。これは今までのLE8Tに対するぼくのイメージとちょっと違うところです。」
以上のとおりだが、加えて資料の中に再現されたウェスタンエレクトリック仕様のバッフルに取りつけられた「LE8T」の写真があった。
「バッフル」と一口に言ってみても、こんなに凄いモノがあるとは想像もしなかった。
おそらく、これが究極かつ本来の「LE8T」の音だろうと推察している。
この本格的な「バッフル」に一度挑戦してみたい気もするが部屋のスペースが足りないのが残念。
とまあ、こういった調子(笑)。
そして、我が家では丁度いい季節に「格好の遊び道具」が見つかったとばかり、例によっていろいろ弄ってみた。
今でも十分だが、もっと音が良くなるかもしれないという欲望に突き動かされての振舞である。
✰ 吸音材の見直し
これまで入れていた自作の「羽毛の吸音材」(左側)を大き目のものから右側の小さ目なものに入れ替えた。
どちらが良いか悪いかは全く予測がつかないので、右チャンネル側だけ入れ替えて同時に両方を鳴らし耳をそばだててみた。
すると吸音材が小さめの方が音に躍動感がある感じがするので、こちらを選択。同様に左側も入れ替えた。
✰ 駆動するアンプの相性テスト
常用している「300Bシングル」(銅板シャーシ)も悪くはないが、このアンプではいかにも「鶏肉を裂くのに牛刀を使う」(論語)ようなものであまりセンスがない(笑)。
小振りのSPには小振りのアンプということで「171Aシングル」「171Aプッシュプル」「6098シングル」「6SN7シングル」の4台を次々試してみた。
すると「LE8T」の能率は90db以下と、とても低いのがネックになって小出力の「171A」と「7SN7」はあえなく討ち死に。
残るは2台となってどちらも甲乙つけ難しだが強いて挙げれば雰囲気が好ましかったのが「171Aプッシュプル」だった。
結局、スピーカーの「LE8T」といい、アンプの「171Aプッシュプル」といい、我が家では常用していない機器たちが久しぶりに脚光を浴びることとなった。これでメデタシ、メデタシ。
これも、ジャズ絡みの話題を提供してくれた「K」さんや「I」さんの波及効果によるものでほんとうに感謝に耐えません。
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