誰しもが不意に「妙案が浮かぶとき」ってありますよね。
たとえば、自分の場合は(圧倒的にオーディオ関連についてだが)「運動ジムでバイクを漕いでいるとき」、あるいは「ウォーキングの途中」、そして「お風呂に入っている」ときなどで、いずれも”こだわり”の対象から離れて「無心状態」のときのことが多い。
今回は「バイク」を漕いでいるときに突然閃いた。
「そうだ!変換アダプターを6CG7用から5687用に代えてみたらどうかな」
いきなりの話で、いささか説明を要するでしょうね(笑)。
以下、いつものように専門的で多少”しつこくて”、(機器にたいする愛情から)「お手盛り」の話になるがどうか悪しからず。
我が家の「1ワットクラス」のアンプ3台の中で一番出番が多いアンプがこれ。言い換えると「AXIOM80」を鳴らすのに最適のアンプになっている。
とてもユニークで出力管を多種類に亘って楽しめるところが気に入っている。
もともとの出力管は「6SN7」だったが、変換アダプターを使っていろんな球を聴けるところがおもしろい。
たとえば次のとおり。
左から「6SN7=12AU7」系の「E180CC」(ムラード)で、そのほかにも「E80CC」などが使える。
中央が「5687」(レイセオン)でインターステージトランスを強力にドライブするときに重宝されている球だそう。
そして右側が「6GU7=6CG7」(いずれもRCA)で、いずれもプレートがやや大きめのミニチュア管。
それぞれ「ピン配列」が違うアダプターに差し込んで音が出るようになっている。
中央の「5687」については「北国の真空管博士」から「とても元気のいい球ですよ、既にレイセオン・ブランドをお持ちのようですから私が海外のオークションでアダプターを調達してあげましょう」により、手に入れたもの。
実際にこの球で「AXIOM80」を鳴らしてみたところ、たしかに元気は良かったけど、中高音域の滑らかさが幾分足りないような気がして控えに回っていたところだが、この「5687」を低音域専用に使えばと閃いたのが冒頭の話へと繋がる。
さっそく近隣のオーディオ仲間のYさんに来ていただいて実験開始。Yさんお好みの「AXIOM80」(オリジナル版)を準備して待ち構えた。
「AXIOM80」(自作の箱内蔵:板厚1.5cm)をフルレンジで鳴らし、低音域を補強するために背後の「ウェストミンスター」(改)を100ヘルツ以下のサブウーファーとして活用するというもの。
自分で言うのも何だが、とても贅沢な「サブウーファー」ですよ(笑)。
これらを駆動するのが次のアンプ。
サブウーファー用に「5687」アンプを、AXIOM80用には右側の「371」シングルアンプを起用した。
「とてもミニチュア管とは思えない低音域の駆動力ですね。引き締まり具合といい力感といい申し分ありませんよ」と、Yさん。
「そうでしょう!5687は低音域用にもってこいのようです。プレートがやや大きめのミニチュア管をプッシュプル動作で鳴らすのは大穴だと思いますよ。まあ、出力トランスがトライアッドというのも利いてますがね。今度はAXIOM80を駆動している371アンプの整流管を80(ナス管)から83V(刻印)へ変えてみましょうかね」
「音がぐっと伸びてきますよ。浸透力が80とは明らかに違いますね。整流管でこんなに音が変わるなんて驚きです」
「整流管に何を使うかは真空管アンプの大穴ですよ~」
さらに実験が続く。
「今度はAXIOM80を5687アンプで鳴らしてみたいですね。入れ替えが出来ますか?」と、Yさん。
「ハイ、簡単ですよ。SPケーブルを繋ぎ変えるだけですから・・。ただし、フルレンジを鳴らすときは真空管を5687から6CG7に代えたほうがいいでしょう」
すると「371のときよりも(AXIOM80に)力感が漂いはじめました。6CG7ってレンジが広くて抜けもいいし素晴らしい球ですねえ」
「ハイ、RCAのクリアトップは定評があるだけあって安心して使えます。」
というわけで、このところ「1ワットクラス」の真空管アンプの出番が多くなるばかり。
古典系のSPユニットを鳴らすのなら、この「6CG7プッシュプル」しかり、「371Aプッシュプル」しかり、「プッシュプルタイプの小出力アンプ」との思いが日々強くなっている。
スピード感が「高速道路」と「一般道路」の違いといえば分かっていただけようか。
こんなことなら値の張る「WE300B」や「PX25」アンプなんて要らなかったかもしれない、なんて思うが、こればかりは実際に購入して鳴らしてみないと分からなかったしねえ(笑)。
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