「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~ラヴェルの「優雅で感傷的なワルツ」~

2009年01月16日 | 音楽談義

昨日15日(木)の午後、92歳の母のために歯医者さんが初めて来てくれた。週3回の割合で通っているデイケア施設が紹介してくれたもので自宅で治療してくれるなんて便利のいい世の中になったもので本当にありがたい。

ずっと昔につくった入れ歯の噛みあわせがいまいちで、本人にしてみれば歳も歳だし、もう先も長くないのでと半分諦めており治療にあまり乗り気ではなかったが子供の立場からするとそのまま放っておくわけにもいかない。

結局、歯科医師、歯科衛生士2名の3人がかりで診てもらった結果、入れ歯を引っかけていた歯が取れていたので改めて作り直すということに。

そういうわけで朝からあちこち出歩くわけにもいかず、午前中は最近購入したCDを集中的に試聴にあてようと思ったがCDトランスポートの周りに以前聴いてそのままにしたCD盤が山積みになっているのでそちらの方を先に片付けることにした。

もともと整理整頓がたいへん苦手なタイプ。一番思い当たるのがいったん引っ張り出して利用したものをきちんと元の場所に戻さないという悪癖。いわゆる無精者というわけで”カミさん”からも「もっときれいに片付けてください」としょっちゅう尻を叩かれている。

特にひどいのが書斎兼オーディオ・ルーム。

それほど広くもない部屋に本や雑誌、コピーした資料などが散乱気味のうえに追い討ちをかけるようにオーディオ関係部品、たとえば真空管、コンデンサー、端子類や”ハンダごて”などの小物類が続々、おまけに竿、釣り糸、ウキまでもがあちこちに。

しかし、何といっても一番の難物なのが前述したようにCDの整理。これまで一応粗削りながらもジャンルごとにCD収納ケースを準備しているものの、聴いた後にちゃんと元の位置に戻さないため混沌とした状況になっている。

オーディオ仲間は例外なくいつお伺いしてもCDがきちんと整理整頓されており自分も見習わなくてはと思うのだがこればっかりはいくら気をつけてもなかなか改まらない。

よし、分かりやすいように整理しようと一念発起。クラシック、ジャズ、ポピュラー、歌謡曲とジャンルごとに分類していた収納ケースをこれまでの失敗に懲りてクラシックを主体に次のように作曲家ごとに分類し直すことにした。

「モーツァルト/オペラ・ソナタ」「べートーヴェン/ブラームス」「ショパン/ドビュッシー/マーラー/シベリウス」「モーツァルト/ピアノ協奏曲ほか」「バロック」といった具合。

                  

パソコンで作曲家名を大きく印刷して収納ケースの表の部分にバッチリと貼り付けた(上記の一番右の写真)。これで取り出すときも戻すときも随分便利になりそう。

一般的には数段重ねの大きな収納ケースを利用されている方が多いようだが自分の場合、中域用スピーカーの「アキシオム80」からの音の跳ね返りが気になるので、なるべく
背丈の低いCD収納ケースを使用しているところ。(一番左の写真)。特にCDのプラスティック・ケースは1枚くらいでは問題にならないが、これがまとまると結構な表面積となり音の響きに悪さをする(と思う)のが気になる。

ともあれ2時間ほどかけて詰め替えし、ジャズなどは部屋の片隅にある丈の高い木製ケースにまとめて放り込み、ようやく一段落、とりあえず見場が良くなったので試聴に移った。

まずは指揮者のフルトヴェングラーがこよなく愛していた曲目というラヴェルの
「優雅で感傷的なワルツ」。指揮者はマルティノンで演奏はパリ管弦楽団。8枚のCDのうち6枚目。トラック番号9~16で8節に分かれ全体で16分ほどの小曲。

親しみやすい旋律も別になく、こんな音楽のどこがいいんだろうという印象がしたが、よく聴いているうちに何だか「いろんな色彩で描かれた絵画」を見ているような感じがしてきた。

これはこれで悪くない。音楽は耳で聴くものとは分かりきった話だが聴いているうちに眼前にさまざまな色彩が髣髴と浮かび上がってくるような感覚を覚えたのはこれが初めて。
まるで一つひとつの楽器の音色が色彩になっているようで、これはまさに驚きの世界!

気になったので作曲家「ラヴェル」をネットで検索。

モーリス・ラヴェル(1875~1937)。
手短に表現すると、「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」で、ドビュッシーと同じ印象派に属する(やや微妙な色分けがあるようだが)とある。

道理でと思った。

フルトヴェングラーは演奏会のプログラムに入ってもいないのに、ベルリンフィルの楽団員にしょっちゅうこの曲目を演奏させていたという。

その理由というのはラヴェルの音楽を愛していたからと言われているが、むしろそれよりも「オーケストレーション」の妙味を通じて指揮者と楽団員との呼吸(いき)を合わせていたのでなかろうかなんて思ったりした。

もちろんこれは勝手な憶測に過ぎないし、それほどの大した事柄でもないが、とにかくこれからラヴェルの音楽の楽しみ方が垣間見えた感じがしたのはなかなかの収穫。

もう一つの試聴盤は「バロック・マスター・ピーシズ」で61枚入りのCDボックス。はじめに、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」。演奏はレオンハルトのチェンバロ。

ピアノ演奏の方ではグレン・グールドを聴き慣れておりチェンバロは初めてだが、録音は優秀だしレオンハルトも名の通った奏者で演奏に不足はなかった。

続いて、コレルリの「合奏協奏曲作品6」、ペルゴレージの「スターバト・マーテル」、ヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲」などを聴いた。

いずれも昔のレコード演奏を焼き直したものではなく、デジタル録音による鮮明な音質だったが、時折、曲目によってはやや潤いや奥行き感に乏しく、いかにもデジタルコピーですといった印象がしないでもない。それにCDによって録音レベルがまちまちでボリュームの調整幅がかなり大きい。

しかし、なにせ61枚で5000円台だからこれで十分。


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