「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「ワディア170」の出現とiPod革命~

2008年08月12日 | オーディオ談義

配信音楽やCDを取り込めるiPodはたいへん手軽で便利だと思うが、あの小さな本体とヘッドフォンで音楽を聴くのはいかにも”ちゃち”なイメージがあって、これまで本格的に音楽を鑑賞するのに必要な代物ではないと完全に問題外にしてきたところ。

しかも発売されて数年、今更、話題にするのは時代遅れで気恥ずかしいが、何とデジタル・オーディオの雄でハイエンド・オーディオの世界に君臨するワディア社から
「iPodをオーディオシステムの核にする」といううたい文句のもとに、「ワディア170iトランスポート」(以下170という。)が9月から発売されると福岡在住のU君からメールが入った。

早速「ワディア170」で検索してネット情報を追ってみたところ、ワディアにしては販売価格60,000円前後と実に安価で非常に身近に感じて大いに興味が湧いた。すでにご存知の方も多いかもしれないが、紹介してみよう。

この
170はアップル社から「Made For iPodR]の正式認定を受けており、現在の入手可能なiPodプレイヤーから、ダイレクトに生のデジタルオーディオ信号を取り出すことを可能とする画期的な製品。

iPodのデジタル音楽ストレージ能力は最大48KHz/16bitというCDを上回るクォリティーを秘めている。その高品位なデジタル音源をこの
170を利用してデジタルのままiPodから引き出し、オーディオシステムのデジタル入力に接続して再生すれば驚異的な高音質を得ることができるという。

自分のシステムの場合でいえば、
170のデジタル出力をDAコンバーター(ワディア27ixVer3.0)のデジタル入力で受ければすぐに使えそう。ただし170の出力端子はRCA方式で27ixの入力端子はBNC方式なので小さな変換器具が必要となる。

さて、これまでiPodを使ったことがないので配信音楽の取り込み方法をはじめサッパリ分からないことだらけだが類推できる範囲で音質、コスト、便利の良さの観点からこの
170を検証してみよう。

1 音質

ワディア社の宣伝文句ではCDよりも高音質という。
CDのフォーマットは44KHz/16bitだが、
170で送り出す能力は48KHz/16bitというからたしかに数値的には上回っている。

だがしかしである。iPodは配信音楽にしろCDの取り込みにしろすべてパソコン経由というのが引っ掛かる。つまりパソコンを経由する時点でそもそも音質の劣化がありはしないかというのがひとつの懸案事項。

どのくらいの程度の劣化が起きるのかが最大の難関で、ある程度問題がなければすぐに購入してもいいとさえ思う。

2 コスト

iPodを使っている娘に聞いてみると配信音楽を取り込むときの費用は4分前後のポピュラー音楽一曲あたり300円程度という。単純計算で15曲を取り込むとすると4500円となるがこれは15曲入りのCDを購入する価格よりも確実に上回ってしまう。ただし、前者では好きな曲ばかりを取り込めるというメリットがあるのでいささか割り引く必要はある。

クラシック音楽の場合は一曲あたり30分程度はザラなのでおそらく500円以上するのではあるまいか。

憶測ばかりで申し訳ないがランニングコストの面ではあまりメリットがないと考えておいた方がいいかもしれない。

ただし、拙宅のCDトランスポート「ワディア270」は3年ほど前に定価130万円を110万円に値引きさせて購入したもの。それから比べるとこの170の60,000円は実に安い。万が一、両者に音質の差がそれほどないときは当然「一体何だ」という話になってランニングコストどころの話ではなくなる。

                       
              ワディア270               27ixVer3.0

3 便利の良さ

クラシック音楽の場合、配信音楽にどのくらいの曲目の在庫量があるのだろうか。すでに廃盤となった曲などが含まれていれば便利なことこの上ない。

それにたとえば、友人のCDをパソコンでコピーしてiPodに取り込めばコピー用のCD-Rを購入しなくて済む。使い勝手がいいのでこのメリットは大きい。この使い方が一番現実的のように思える。

また、自分が所有するCDをiPodに取り込んでおけばCDトランスポート(270)が故障したときに不便を感じなくて済む。

また肝心のiPodの容量だが、
170に接続できるいろんな種類が紹介されているが、「iPod classic」になると160GBが最大容量になっている。このくらいになると相当の蓄えが出来そう。(ネット調査では400曲以上の容量、40時間連続再生が可能で価格42,800円なり)。

以上、
170のメリットを検証してみたがつまるところ、その存在価値は将来を見据えた場合に「iPodがCDの補完”として機能するのか、あるいはまったく取って代わる存在、つまり”代替”になるのか」という話に行き着いてしまう。

7月29日号の
「エコノミスト」誌(毎日新聞社)によると「iPod革命がレコード業界を淘汰する?」という見出しのもとに「音楽がタダになる」とセンセーショナルな記事が掲載されていた。とにかくCDの販売が近年激減しているという。(21頁に亘る特集記事でたいへん興味のある内容だったのでいずれ紹介してみたい)。

「配信音楽がタダになる日」が来れば、CDが駆逐されるのは時間の問題だが、この170は「CD → iPod」へと変わりつつある時代の先がけ、象徴的な存在としてエポック・メイキング的な製品になる可能性が大いにある。

とにかくこれからCDプレーヤーシステムを購入しようと考える人には一考の余地ありだが、DAコンバーター(DAC)部分は絶対必要なので単体で購入する手はある。

 


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