赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

ちばるりこさん、デビュー、おめでとう!

2019-02-02 09:04:55 | その他
東北で活躍されている作家、ちばるりこさんのデビュー作を読みました。
『スケッチブックー供養絵をめぐる物語ー』第26回小川未明文学賞 大賞受賞作品です。


絵が大好きな少女、紗里奈は、クラスメートの心ない言葉から絵をかくのをやめてしまいました。
傷心をなぐさめくれたのは、亡き母が育ったふるさと、遠野でであった「供養会」の存在でした。

紗里奈の気持ちの揺れ動くさまが丁寧に書かれています。せつないところもありますが、最後、希望が書かれています。

また、このお話しのもうひとつの柱は、東北、遠野というふるさとのぬくもりではないでしょうか。岩手県、盛岡に住む作者ならではの、あたたかさ、ねばり強さ、人と人とのつながりのとらえかた、そういうものが、物語りをささえていると思いました。

東京のすみっこにいて、ふるさとというものがないわたしには、地方に住む方の地域のむすびつきがときにうらやましいです。

また、ちばさんの作品が、雪深い新潟上越の文学賞、小川未明文学賞で大賞をとられたのも、なにかの縁ではないか、と思いました。

作品は魂をゆさぶるような死者と命の物語り。せつなくてそれでいて、力強いです。
わたしも亡き父のことを時々思いだしますが、時間がたつと思いだせないこともあります。
心をなぐさめることはとてもむずかしいですが、供養絵はその手段のひとつなのでしょう。

娘とたずねたことがある民話のふるさと遠野、また、行きたくなりました。河童淵とか有名ですよね。雑踏に慣れている私は、夕暮れ後の静けさがこわかったことを思いだします。そういうところから民話が生まれたのでしょうね。

同人誌「ふろむ」は、とても仲がよくて有名なところです。仲間との連携、切磋琢磨、そういったものがあってのデビューでしょう。
本当におめでとうございます。

次はまたちがうタイプの作品を読みたいです。