赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

映画『そして父になる』

2013-10-09 09:40:38 | 日記
すごい映画をみました。後半、涙がとまりません。
カンヌ映画祭で、審査員特別賞を取った話題作。福山雅治が、どんな父親を演じるのかと思って見に行きました。
見たら、子役や、脇をかためるリリーフランキーなどがとてもよくて、その対比としてのいやみなほどカッコいい福山雅治がひきたっていました。

福山雅治がやる役、野々宮良多は、仕事人間で子どもの教育には口をだすけれど、ほとんど遊ばない、そんな勝ち組エリートです。他人とのつきあいには、距離をとります。

考えてみれば、うちの夫、エリートではありませんが、仕事人間で不器用で、子どもとあまり遊べない人でした。その中にも愛情があるのですが、その現し方がへたくそで、そんなことで子育ての頃、よくぶつかっていたのを思いだしました。

そんな野々宮が、まったく別の家族、別の子育てとかかわることになり、そして……。

ラスト、野々宮が、いい父親になるとは、この映画は言い切っていません。これからも、あの上から目線の路線はかわらないでいく気がします。
そのへん、こうなりなさいという押しつけの少なさ、いろんな人がいるという肯定感が、とても好ましく、何度も見たい映画になっています。

感動したので、パンフレットを買いました。わたしの他にも、何人も買ってましたが、パンフレットの中の言葉もよかったです。出演者、だれもが、監督是枝さんを信頼していて、その信頼のもとにあのチームワークができたようです。

そして、脚本家の井上由美子さんが感想を書いてました。
主人公の野々宮良多は、自分は人生を努力で勝ち取って選んできたという傲慢さがあるのですが、選べないという事実をつきつけられて初めて、人生は選択ではなく、与えられたものなのだと気づいていくといった意味のことです。それはそうなんだと思いました。
子どもの病気や個性って、自分で育てていて、やはり天からのさずかりもののような気がしましたから。また、わたしの中にある、ある種の傲慢さ、また、人との距離感の取り方なども考えさせられました。

これから父になる人、母になる人にも、見てほしい映画です。見た人と語り合いたくなる、なにが感じる映画です。ひさびさおすすめに出会いました。興味がある方はぜひ!