赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

男体山の風

2011-04-25 22:49:24 | 日記
高橋秀雄さんが、新刊『地をはう風のように』福音館を出版されました
版画の表紙画。最近はみかけないタッチだけに、かえって目をひくのでは。

とても貧乏で、ちきしょう、ちきしょうといいながら、歯をくいしばって生きるコウゾウの話。つらい話ですが、読み終わると、ほんわりとあたたかい気持ちになるのが、不思議です。
震災が起きた今、こういう物語が案外脚光をあびるかもしれません。

わたしの父の生まれは、高橋さんの故郷と同じ栃木の日光の近く。男体山をながめて暮らしたといいます。風の強さは、この作品にもしばしばでてきますが、父からも聞いていました。そこで暮らしたわたしの祖母は、東京にきても、なまりが消えず、「おらは~」「しんねえ」などと、男みたいな言葉で話していました。女性の栃木弁は、ぶっきらぼうに聞こえます。
高橋さんの話には、そんな栃木弁がたくさん出てきて、祖母のことなど、とてもなつかしく思いだしました。貧乏だったという祖母と父なので、コウゾウのような暮らしをしていたのかもしれません。

同じ故郷の本、父が読むかなっと思ってすすめたけれど、最近の父は、本を読む気力があまりないようです。少しずつ、少しずつ、小さくなっていく父をみていると、せつないです。