昨日の25日、精神科医の香山リカ氏の講演
会が開催された。(釧路市生涯学習センター)
題名は「あなたの生きづらさを解決します
~精神科医からみた今の日本~」
香山さんは診察室から見た患者の変化--
うつ病が増えたことと「成果主義賃金」が
企業で導入されたことの関係を強調した。
そもそも日本の企業風土や文化がアメリカ
と違うのに、「成果主義賃金」の導入がい
っきに進んでしまった。
その結果、日本の生産の「強み」が徐々に
崩壊していった。チームワークはガタガタ。
日本では「個人主義」の歴史が弱く、個人
間の競争をあまりにも煽るので、自分を守
る「利己主義」が広がった。
簡単に言えば、仲間に教えれば自分が不利
になる。そして足の引っ張り合いにつなが
っていく。
7年前、元富士通の人事部にいた方が、
「成果主義賃金」の警告の書をだしたこと
を私のHPのひとことで紹介した。
「成果主義賃金」は健康を破壊 2011年5月 13日
富士通総研から「成果主義と社員の健康はどのように関係しているのだろうか」の論文が発表された。
こちら→
「成果主義賃金」という幻想が相変わらず跋扈している。いわゆる「馬の鼻に人参」である。
とりわけ富士通での成果主義賃金がいかに生産性を低下させたか、内部からの告発も含め本が出版されている。以前に元富士通社員で人事部にいた人が書いた「内側から見た富士通 『成果主義』の崩壊」(光文社)という本を読んだ。トップが薄っぺらな人間観をもっているとこれ ほど不幸な職場になるのかという典型例であったと思う。
今回は、統計的手法も使い、働く人々の健康まで破壊していくという結論であった。
(成果主義に「」を付けるのは、本来の成果主義とは違うからである)
講演会の後半で、新自由主義のふれられて
いたが、この考え方で進めているのが安倍
政権。香山氏は政治的な問題にふれていな
かったが、これこそ最大の震源地だと思う。
「稼ぐ」、これを中心に据え、規制緩和を
次から次へと打ち出し、国会の数の力で強
行していった。
派遣労働、非正規労働の拡大は、その典型
であった。
これと企業の中での成果主義賃金が合わさ
り、将来の生活さえ見通せなくなった若者
が増えてしまった。
まずは政治を変えることだ。
人間の顔をした経済政策に。