「週35時間以下を希望」
これはドイツのIGメタル(金属産業労働組
合)の組合員要求アンケートのなかの「自
分の人生に適合した労働時間」の集計結果
だ。
週35時間といえば、土日が休みで、祝日が
20日以上、そして残業なしという日本から
みれば考えられない生活だ。
20年以上も前に週35時間労働を実現した
ドイツでは、その後「規制緩和」など、
あの手この手によって壊されてきたとの
こと。(以上、雑誌経済11月号より)
日本ではどうであろう。
長時間労働による「過労死」がニュース
になっている。夕食は家族団らんという
が言葉が聞かれなくなっているのでは。
江戸時代を残した明治10年の日本紀行を
書いたイザベラ・バードは、「12人か、
14人の男たちが低い塀の下に集まって腰
を下ろしているが、みな自分の腕の中に
2歳もならぬ子どもを抱いて、かわいが
ったり、一緒に遊んだり」、「夜になり、
家を閉めてから、・・・一家団欒の中に
かこまれてマロだけしかつけていない父
親が」子どもたちを抱いている姿を描い
ている。
「イザベラ・バードの旅」より
(講談社文庫、宮本常一著)
資本主義社会の発展は、利益至上主義
が極端な段階まで到達している。
簡単に利益を上げる方法が、長時間労
働と低賃金化である。
そして極端にまで進んだ格差拡大。
ブレーキをかけるのが労働組合であり、
法律などの社会的規制となっている。
安倍首相がやろうとしている「残業代
ゼロ法案」は、さらなる規制を打ち破
る突破口になる。
「働き方の未来2035~ 一人ひとりが
輝くために~」も美辞麗句の多用で、
ひどい内容だ。
異常ななかにいると異常もわからなくな
る。
ドイツの社会から日本をみるのもひとつ
の力となるのでは。
厚労省の「過労死等防止対策白書」は
こちら→
第1章労働時間からはじまっている。