Episode2 老後の釣り1
55歳の頃から田舎の母親の定期診察の付き添いで帰省していたが、60歳以降は田舎にいて母を観ながらのんびりした釣りをしていた。約半年後再就職が決まってまだ元気だった母を観るために田舎に帰ったり再就職先での仕事をするなど半々の生活を開始していた。一方で釣連盟の業務やその付き合いが多く結構多忙であった。3年後弟も定年になり田舎で母をみてくれるようになり、仕事や連盟のお世話が中心になった。
田舎での主な釣りは河口のテトラポッドのグレ釣である。多くの場合午後3時頃が地合いになることが多く、その時間帯に合わせて家を出るのである。家から釣具店迄自転車で3分、エサの購入に5分、家に帰って釣り場の自転車置き場迄まで2分。釣り具を持って海岸を徒歩、テトラのポイントまで徒歩3分。いつも釣るテトラの場所は決まっていた。そのテトラに名前を書きたいくらい決まっていた。また先客もよく知っていて場所を開けてくれたりした。
そこはやはり季節の釣り物がよくわかる場所で10月になればシマアジがよく釣れる。それが釣れなくなると本格的なグレのシーズンの開幕であった。色んなエサ取りや色んな釣り方もしたが河口独特の釣り方も有効であった。あまり坊主はなく殆どおかずの魚は釣れた。ただ大物は引き合いすれば必ずテトラに入り込むのであまり40cm以上のグレは取れなかった。
予期しないハプニングは釣りにはつきものであるが2回あった。
一度は掛けた魚が大きな石鯛だった。頑張ったがやはりタックルが違い過ぎてテトラに入って切られてしまった。
また時々クエの小型を目撃するのでグレ釣用の道具とは別にハリス8号のゴツイ仕掛けを用意していた。すると弟が釣った木っ端グレに70cm以上はあるクエが追いかけてきた。早速その木っ端グレをエサにしてすぐに見えた場所に放り込んだ。しかし当たってこない。だめかなあと思っていたその時、思い切り当たってきた。腰を入れて竿を立てると姿がみえた。すると奴は思い切り方向を変えて沖へ向かって突っ走る。随分沖まで出されたが頑張ってまたリールを巻き戻した。すると今度はこちらに向かって突っ走ってきて、そのままテトラに突っ込んでしまった。それはもう取れるものではなかった。テトラでハリスが切れて終わった。
当時は介護と再就職先の仕事のまとめとテトラの釣りの毎日であった。
「佐藤談」
長い期間おせわされてたいへんだったとおもいますが、この親孝行ができないようでは魚も釣れませんが、弟さんと大変な孝行息子でしたね、ご苦労様でした。