佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

夢にまで見た宇治群島へP-12

2013-02-23 20:36:40 | 釣り界の歴史

東シナ海の荒海はそれから狂いに狂う。

雨まじりの強風が横殴りに吹き付け、7トンの小舟は、木の葉の形容そのままに頂点から

奈落へ、奈落から頂点へ、さんざんに奔弄される。

デッキはほとんど海水に包まれ船長の操舵室まですっかり水ひたし、私とH氏は機関室の横の

小部屋に、」足をかがめればどうにか寝られるが、機関氏とコック氏は身の置きどころがなくて、

終夜シートをかぶって、デックの隅にうずくまっていたのは何とも気の毒であった。

この大しけのなかで、一番困るのは、食事と排便である。

私はかえって食欲がましたぐらいだが、船に弱い人なら、転げる茶わんを手に持って、激しいピッチングとローリングのなかで、箸を運ぶのは、大変なことだろう。

殊に、便意を催して、上下する船の端にすがりながら尻をつきだして排便する荒業は、よほど馴れた人でないとやれたものっで内。

天気の良い日は、遠征もまた楽しいが、一度狂うと遠くの海は真実恐ろしい。

そして長い遠征には一度は荒天はつきものと考えて間違いない。

船に弱い人は、絶対に諦めるべきだし、船に強い人も計画は慎重を期さねばなるまい。

ドリームランド

人間の欲望には際限がない。

宇治群島がダイナマイト騒ぎで、思ったほどもつれないとなると、どこか、もっとよく釣れるところがないだろうかということになる。

船長に訊くと「ある」という、「どこ?」と尋ねると「草垣島」という返事、「よしそこへ行こう」と

いうことになった。

宇治群島から更に4時間、東シナ海のまっただ中にその島はある。

夜中に宇治を発ったので、そこに着いたのは、ほのかな夜明け、逆光に輝く水平線の彼方に、

“絶海の孤島“の形容そのままに、白い燈台のある草垣島が、小さな島巙群を従えて、まるでオトギの国の大者の如く黒く高く聳えている。

船が近ずくにつれて、私はまるで夢の国に踏み入ったような錯覚に捉われだしてきた。

それはそこが、私の空想も及ばない、美しさと、壮大さと、奇怪さに満ち溢れていたからだ。

草垣島のひきいる

一群の島巙は私がこれまでに見たものとは、全く趣が異なっていた。

まるで海の中から生えたように、高さ2,3百メートルもある奇岩怪石が、或いはゴジラの如く

或いはアンギラスの如く、突こつとした垂直の壁面を見せて突き立っている。 

そしてそのまわりを、名も知れぬ海鳥が奇声をはっしながら無数に飛び回っている。

私は自分がまるでマイク・ネルソンのような冒険家になったような気持ちがして口笛を吹きながら

うっとりとまわりに見とれていた、と、突然、何千とも知れぬイルカの大群が私の目の前をしぶきを

上げて走っていくではないか。

私はこのときほど、カメラを持ってこなかったことを、残念に思ったことはない。

食料の欠乏で、僅か1日だけで、そこを去ったが、ライトブルーの素晴らしい海の色や、穴子や

陣笠やフジツボのびっしり着いた、ホレボレするような独立岩礁を見ていると、こここそ、イシダイの発祥の地であり、磯釣り最終の地、メッカである、との確信を持つに至った。

獲物は、イシダイ1、タマミ1、クエ1、にとどまったが、それでもイシダイで竿がたたずに力負けでバラシタのが3枚もあり、船長の話でも、ときに3貫クラスの超大物が上がるという。

機会があれば、是非もう1度行ってみたい秘境“草垣島”である。

森岡さんの素晴らしい遠征記ありがとうございました。

12回に分けて書かせてもらいました、とても真似のできるものやないですね、

船でのトイレは普通のものにはできるものではありません、私も小笠原でそんな経験をしましたが、磯釣りは安全第1です。

 

 

コメント
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