不死身のアキレス
しかし如何にアタリは小さくとも、流石は矢張り宇治群島の口白(クチジロ=石鯛の1種)である。
くわえ込んだら最後、徹頭徹尾、もの凄い馬鹿力で暴れまくる。
私はこのバカ力に備えて、アレーやエキスパンダーのボデイビルで
ずい分腕力を鍛えたつもりだったが、それでもテンデ歯が立たない。
送りこんで喰い込ました途端に、竿をペタッとシメ込まれて、それからは、
どんなに力んでみても、それを持ち上げることも、どうすることも出来ない。
完全な力負けの、黒星の連続である。
昨年の失敗にこりて、今年は道糸6分ワイヤー30番でやったから、高切れやワイヤー切れは1度も
なかったが、シメこまれてモタモタしているうちにオリンピックの2寸バリを、まるでチュウインガムでも噛むように、ペチャリと咬みしがんでしまうのだから恐れいる。
そんなハリはずれが、無慮十数回もあった。
大モノはそれで大方バラしてしまい、取り込んだのは、1貫23百クラスのザコばかり、
最高が1貫650という不甲斐なさだった。
今度こそ、何とか記録モノを釣り上げて、会稽(かいけい)の屈辱を雪ごうと、巻尺まで持参したのだが、又しても、手も足も出ずにかえりうちにあった。
ここでちょっと誤解のないように申し上げるが、口白は一説にイシガキの老成したヤツといい、
従って近海のイシダイの2倍は引く。
でかいのは、まず、クエの4貫クラスといすずみの2貫クラスを同時にかけたとおもっていただけば
間違いがない、海面近く引き寄せても、弱るどころか四方八方に暴れまくるタフガイなのである。
こいつの大きいのは,3貫56百もあるという。
餌は、礒の穴子(流れ子)、陣笠、イガイ、フジツボなどで間に合わせたが、
このエサに5キロもあるタマミがときどき凄い勢いで竿が舞い込んだり、
メバルの1キロ近いのが、2寸のハリに喰いついた。
万能餌の効力というよりそれだけ魚数も魚種も濃いのだろう。
追記)これを読んで下さっている皆さん、この中で1貫23百のザコとかかれています、この魚
今風に言うと約4キロです、大きいのが3,5貫、やく13㌔からなるもので、礒から竿では
簡単に上がるものではないということで、いかに凄いかという事です。