二日目は、8時半にはペンションを出発して、N山の山頂を目指した。
詩人は登山家としても名を馳せた人物だ。当時、間違いなく詩人も何度も登ったはずのN山、僕たちも詩人の山登りを追体験するべく、ぜひ挑戦しよう!
といっても、それほど本格的な山登りではない。
ペンションから歩いて10分ほどのところがN山のスキー場の麓。そこからゴンドラに乗って更に10分登る。
周りは紅葉がそろそろ終わりかけだが、ゴンドラの後ろには八ヶ岳の雄姿が広がり、凄い迫力だ。
このスキー場は、夏場はマウンテンバイクのメッカらしい。今回も大勢のバイカーが集まっていて、ゴンドラの頂上からいくつかに分かれたコースを駆け下りていた。
もちろん僕には出来ないが、面白そうだね。女性も子供もやっていますよ!
ゴンドラの終点から2,000m近くあるN山の頂上までは約500m、歩いて50分程度とのこと。
登山の得意な合唱団メンバーのHさんに言わせれば「途中ちょっときついところがあるけれど、まぁ大体はなだらかで歩きやすいから大丈夫だよ」
そう言われて行ってみて、大変な思いをしたことは今まで何度もあるが、やっぱり詩人が立った頂上に行ってみたい。
確かにそれほど大変ではなかったが、それでも普段運動不足でデブの僕にはきつかった。
ヒイヒイ、ハアハア、汗もどっぷり・・・。喘ぎ喘ぎ、漸く頂上に着いた。
・・・すご~い、360度大パノラマの超絶景だぁ~!
北には八ヶ岳が目の前に迫る。東を見れば富士山の上半身がくっきり、南は峻険な甲斐駒ケ岳。西の遥か先には冠雪した槍ヶ岳や穂高連邦など北アルプスまで望める。
天気は雲ひとつない快晴!我が眺望を遮るものは皆無!
さっきまでのヒイヒイハアハアをすっかり忘れ、みんなで暫し絶景に見とれた。
「はぁ~、詩人もこの眺望をいつも眺めていたんだねぇ~。僕たちも同じ景色を眺めているんだねぇ」なんとも感慨深い瞬間だった。
さぁ、みんなでお祝いだ! 僕のリュックに「眞澄」のワンカップが1本入っていた。それを11人で分けて(ちゃんと紙コップを持っている人がいるんです)乾杯!
「待て待て、せっかくだから頂上で“Ein Prosit”を歌うんだべさ!」
少し押さえ気味にEin Prositを歌って、乾杯! いやぁ~、美味かったなぁ~。
周りの登山客から拍手とアンコールの声をいただきました。
Hさんが持って来ていたスコッチもすこしずつ呑んだので、気持ちが良くなっていたオヤジたち、「そうですかぁ?ではもう一曲」と、詩人の歌をご披露。
さらに調子に乗って「箱根の山」まで歌ってしまった。
パートバランスも悪く、ダブカルにも欠けるメンバーだったので、演奏そのものはイマイチだったと思う。
でも気は心。詩人所縁のN山頂上で、詩人の眺めた絶景を追体験し、そしてちょっとだけ呑んで詩人の歌を歌う。なんとも素晴らしい貴重な経験でありました。
気持ちよく下山し、名物の手打ち蕎麦とビール、お酒を堪能。その後は詩人の資料をたくさんお借りしていた施設美術館に立ち寄り、館長のお話を暫し伺い帰路についた。
この二日間で、すっかり詩人が身近になった参加メンバー。次回の練習からは、歌の意気込みと思い入れが違いますよ!
乞う、ご期待!!