おはようございます。 生き生き箕面通信1545(130316)をお届けします。
・TPPは憲法違反――安倍首相は稀代の「ペテン師」、マスメディアは大政翼賛広報紙
安倍首相が「TPP交渉に参加する。これがラスト・チャンス」と昨日3月15日に表明して、本日の新聞各紙はTPP(環太平洋経済連携協定)一色と言っていいほどです。しかも、「安倍首相よ、良くやった」といった論調に傾いています。「TPPには警戒せよ」といった声も多少取り上げていますが、添え物程度です。TPPは明らかに憲法違反といえる内容を色濃く有しているにもかかわらず、その点には全く触れようとしていません。つまり、メディアは、TPPが憲法違反という「事実」を国民の目から意図的に隠す役割を果たしているのです。
インターネットの世界では、「TPPの憲法違反論」が指摘されています。最も強く主張しているのが、国際評論家を称する小野寺光一氏。昨日のブログは「TPPはトータル・プリズン・プログラム」というタイトルでした。「日本という国家を牢獄に入れる完全牢獄条項」と、過激なタイトルをつけていますが、TPPの本質をついているといえます。
具体的に憲法のどの条項に違反するのか。氏が挙げるのは、次の条項です。
・まず98条違反。98条は、「この憲法は、国の最高法規であって、その条項に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない」と規定しています。ところが、TPPには「ISD条項」というのがあって、すでに猛威をふるっています。この条項は、企業が国家を訴えることができ、わずか3人の秘密裁判による一審制で、国家に賠償金を支払うよう命令できるのです。上告できません。ISD条項は、憲法より外国企業の利益追求を許す法規の方が上位に位置する内容であり、明らかに憲法違反のとんでもない条項です。
・97条の「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在および将来の国民に対し、犯すことのできない永久の権利として信託されたものである」にも、違反しています。日本国民の基本的人権の尊重のために用意した各種制度(健康保険制度、年金制度など)を、TPPでは「外国企業に不利益である」という趣旨で撤廃を求めることのできるようにしています。撤廃しなければ、損害賠償の対象とされます。つまり、日本国民の基本的人権を「侵すことができる」ようにするという結果を生むものである。小野寺氏は、このように指摘しています。
・99条の「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」にも違反します。憲法が規定している尊重義務をあっさりと捨て去るものだからです。
・さらに31条の「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」にも明瞭に違反するものです。ISD条項は、外国企業が日本国に対して、海外での非公開裁判によって損失を支払うように要求できるようにするものです。しかも、日本国から、つまり税金から支払わせるので、私たち国民全体が支払う対象となるのです。
なによりも、憲法前文の「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」にも、根本的に反します。TPPは「日本国の主権が外国企業にあり、その権力は外国企業がこれを行使し、その権利は外国企業がこれを享受する」ともいうべき内容であって、憲法違反であることは明白である、と強調しています。
安倍首相は、「一日も早く参加しなければ、世界のルール作りから取り残される」と、国民をあおりました。まったくのウソで固めた「参加表明演説」でした。安倍首相は、稀代の「ペテン師」に変身したといえます。そして、日本の大手メディアは、戦中の大政翼賛広報紙に堕しています。私たちは、来るべき参院選で安倍政権に反撃しなければ、次世代以降の人々に申し訳が立ちません。