おはようございます。 生き生き箕面通信1550(130320)をお届けします。
・イラク戦争は何だったのか――改めて問うべき現在の課題
オバマ米大統領は昨日3月20日、イラク開戦10年の節目にあたり、「米国はイラクとともに、安全保障や平和で共有する利益を追求し続ける」との声明を発表しました。これは、今朝の読売新聞が国際面(9面)で、そう伝えました。他方、今朝の朝日新聞は、米国民対象の世論調査で、「イラク戦争は国民の過半数が『間違いだった』と考えていることが浮かび上がった」と、国際面(7面)で報じています。
アメリカのCNNが発表した世論調査によると、イラク開戦を「賢明な判断」と答えた人は38%、「愚かな判断」と答えた人が59%だった。戦争の結果については「勝利」が26%で、「行き詰まり」が55%、「敗北」が18%だった、と伝えています。つまり、73%にあたる人が、「否定的な判断」を下しているのです。
もともとイラク戦争に否定的だったオバマ大統領ですが、現在は声明にある通り、「平和で共有する利益を追求し続ける」立場です。これは、「アメリカはイラクの平和維持に努め、その平和のもとで『石油』利権は追求し続ける」という意図内外に表明したものです。
イラク戦争は何だったのか。アメリカの金融・産軍・連合体にとっては、石油利権の確保が狙いでした。そして、その狙いを達成し、今後もその利益は追求し続けるというわけです。その陰で、オバマ声明が「犠牲になった4475人の米兵に追悼の意を表す」としたことに象徴されている通り、甚大な犠牲を出しました。イラク国民の犠牲者、負傷者、難民は数百万人にのぼります。イラク国民を犠牲にして、アメリカのグローバル資本の利益を追求する姿勢を鮮明にしています。
日本は、小泉首相(当時)が世界に先駆けていの一番に「米国支持」を表明し、ブッシュ大統領(当時)への忠誠を誓いました。そして、「日本が自衛隊を送るところは戦場ではない」という小泉・珍答弁で、自衛隊を派兵しました。その結果、いまはイラクの石油利権の一角に食い込んでいます。
つまり、日本にとってのイラク派兵は、「日米同盟の深化」であり、自衛隊の「海外派兵」の実績づくりでした。そうすることで、石油利権を確保する狙いだったといえます。もちろんそうすることは、イラク国民の多大な犠牲を伴うものでした。新しい形の「植民地主義」を、アメリカに追随する形で追い求める「日本流外交方式」です。
その間、日本の国民はどのような立場に置かれたのでしょうか。国会での論議もおざなりにすませ、国民に真の情報を提供する努力をしないまま、情報を隠したまま、既得権益層の利益追求のための政治が行われたということです。そこにあるのは、民主主義の無視であり、破壊です。それは、結果的に日本国民の人権を踏みにじるものです。
そしていま、TPP(環太平洋経済連携協定)です。同じように、情報は隠したまま、民主主義を破壊し、国民の人権が踏みにじられる政治が進行しています。