おはようございます。 生き生き箕面通信1535(130306)をお届けします。
・TPPは「1%」が「99%」の生活権を奪うもの
安倍首相は来週後半にもTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明すると報じられるようになりました。「交渉への参加反対」論は抑え込めると判断したようです。事実、安倍・オバマ会談のあと、「(コメなどの)聖域は認められる」との宣伝で、TPP反対論は勢いをそがれたように見えます。
TPP反対論の勢いがそがれたように見えるのは、反対の根拠が主としてコメなど農業分野が破壊されるという次元にとどまっていたからではないでしょうか。アメリカなどから安いコメが輸入されると、国内農家が壊滅し、「食の自立」が危ないという程度の反対論にとどまっていました。
もちろん、「食の自立」も大切ですが、TPPの本当の恐ろしさは、多国籍企業による世界統治機構の構築にあります。そのための強力な手段が「ISD条項」です。これは、企業が国を訴えることができ、国から賠償金をむしり取れる条項です。またの名を「毒素条項」ともいわれます。たとえば、日本の商習慣が妨げとなって、損害を受けたと感じたら、国際機関に提訴でき、たとえば北米自由貿易協定(NAFTA)ではアメリカの企業がカナダ政府やメキシコ政府を訴え、企業側が勝っています。アメリカの企業がそれぞれの国の国民の税金をむしり取ることができるのです。安倍首相側は、このISD条項をできるだけ知らせないようにしています。
アメリカのTPP担当は通商代表部ですが、その代表のカーク氏は「アメリカ車の関税は下げない。日本はアメリカ車の輸入を増やせ」といっています。こうしたムチャクチャがまかり通らせようとしているのが、TPP交渉の実態です。日本で「地産地消」をやっていたら、「それが障害となって、わがアメリカのモノが売れない。『地産地消』はやめるべきだ」ということになりかねません。
TPP交渉の実態は、秘密交渉です。アメリカ国内でも機微に触れるものはほとんど伏せられたままだから、たとえばアメリカ上院のワイデン貿易委員長ですら情報から遠ざけられていると伝えられています。つまり、自分たちだけで思うように設計しようとしているので、ムチャクチャな内容になり、過激な内容になりつつあるようです。しかも、締結から4年間は内容を公表しない、と決めています。表向きには「十分な透明性が確保されている」というものの、実態は完全な秘密主義です。そして、富裕層「1%」のために、世界の「99%」を犠牲にしても構わないという思想で貫かれつつあります。
TPPは、そこで決定したことは、各国の法律の上位に位置するものとして進められています。しかもいったん合意したことは、修正することができません。とんでもない反社会的な内容で進められています。こうしたとんでもない内容を秘密にしたまま、交渉が進められ、締結へ向けて動いています。あとで後悔することが分かっているものですが、安倍首相は進んで突っ込んで意向としているのです。安倍首相は、本質的には「売国奴」の役割を果たしつつあります。遺伝子組み換えの多国籍企業、モンサント社が乗り込んでくるだけでも、日本の「食の安全」は破壊されます。私たち99%は、モンサント社の餌食にされてしまいます。