お早うございます。
生き生き箕面通信2147(141109)をお届けします。
・「壁は通り抜ける必要のある障害だ」と村上春樹さん――「心の壁」を乗り越える努力を積み重ねましょう
「ベルリンの壁」の上で一人の男が分厚いコンクリートの壁を壊そうと、力いっぱいつるはしをふるっていました。ちょうど25年前(1989年)の本日11月9日に起きた、歴史を変えた出来事でした。周りには解放の喜びをあらわにした人々がいっぱいに取り囲んでいました。
東西冷戦が、この「ベルリンの壁崩壊」によって、終わったのです。しかし、近くには武装したソ連(当時)の部隊が集結していました。壁の上の群衆に襲いかかることもできる態勢でした。
ところが、当時のゴルバチョフ・ソ連大統領は、部隊に群衆排除の命令を出しませんでした。つまり、ゴルバチョフ氏の英断によって東西冷戦は終了したのです。ゴルバチョフ氏は、ソ連の社会主義体制が西側の資本主義体制にいったん敗北したことを認めることによって、冷戦を終わらせる立役者になったのでした。
そのゴルバチョフ氏はこのほど、開放25年を祝うドイツでの催しに出席し、「世界は新冷戦の瀬戸際にある。すでに新冷戦が始まっているという見方さえ出ている」と、危機感を表明しました。
ウクライナ情勢をめぐるロシアと欧米との対立が先鋭化してきたことに警告を発したのです。
ドイツでの文学賞授賞式に出席した村上春樹さんは、「壁のない自由な世界を築く努力の大切さを訴えた」と、外電が伝えてきています。直接的には、民主化を求めてデモを続ける香港の若者たちへのエールだったそうです。
村上さんの受賞スピーチを伝える朝日新聞の本日朝刊(6面)によると、ベルリンからの玉川透記者は、「村上さんは壁を『システム』ととらえ、『時には暴力的に他者を排除する。ベルリンの壁がその顕著な例だ』と指摘。世界には『民族や宗教、不寛容、原理主義、欲、恐れなどの壁が存在する』とし、小説家として『壁は通り抜ける必要のある障害だ』とも述べた」と、書いてきています。
日本には、安倍晋三という男による暴走政治が目に見えにくい分断の壁を築いています。集団的自衛権の行使容認や特定秘密保護法制定による、国民の間への分断。消費増税やTPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる分断。原発再稼働や沖縄の辺野古基地建設強行による分断という目に見えない壁。
そして、国民の間には、ヘイトスピーチに顕著な「他者を排除する心の壁」も広がっています。
私たちはいま、たくさんの「壁」を乗り越える努力を迫られています。「壁は通り抜ける必要のある障害」です。障害は取り除く努力が必要です。
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