生き生き箕面通信

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2303 ・「大国のヴィートウ(拒否権)が諸悪の根源」と、元ユネスコの事務局長

2015-04-14 15:20:29 | 政治

こんにちは。
生き生きフランス通信2303(150414)をお届けします。

・「大国のヴィートウ(拒否権)が諸悪の根源」と、元ユネスコの事務局長

 日本人初、アジア初のユネスコ事務局長を務めた松浦晃一郎さんの講演会が昨日4月13日(月)に開かれると聞いて、行ってきました。

 パレスチナが国際舞台にデビューすることに関しては、さまざまな妨害があってなかなか実現しませんが、ユネスコは敢然と正式メンバ―として参加を認めたのでした。そこの裏話などが聞けるのではないかと期待してのことです。

 松浦さんは、2009年までの10年間、ユネスコのトップの事務局長をつとめ、それまで脱退していたアメリカを復帰させることに尽力し、成功したなど数々の業績を挙げたことで、知る人ぞ知る。とくに「国連教育科学文化機関」というユネスコ本来の「教育」に力を入れ、アフリカ諸国などからも絶大な支持を得た人です。

 今回の催しは、実は息子がフランス社会での日仏の交流、結びつきを強めようと、まず自分の出身大学・東大のフランス在住OB、OGに働きかけて「赤門会」を立ち上げ、講演会などのイベントを開くようになったそうです。

 会場はパリ市内なので、この日は公共交通機関を使うことにし、車は最寄りの駅でパーク・アンド・ライド。郊外電車は揺れも少なく、乗り心地は悪くない。明るい陽射しの午後の時間帯だったので、治安も問題なし。

 パリの名所のひとつとして有名なカタコンブ(骸骨だらけの不気味な地下墓所)がある近くで下車し、そこからバスで会場まで。1時間を回る行程でした。

 会場は、日仏親善に力を入れている笹川日仏財団のパリの拠点オフィス会議室。

 話は横道にそれますが、競艇ギャンブルからの収益で活動する笹川良一・陽平親子(良一氏は故人)にはさまざまなレッテルが貼られてきましたが、現在の陽平氏は日本財団(日本船舶振興会)の会長として笹川日仏財団を積極的に支えており、さらにハンセン病制圧のためにインドやアフリカ諸国を飛び回り、その功績は正しく評価されるべきではないかと思っています。

 本筋に戻って松浦氏の話ですが、パレスチナがユネスコには参加できたけれど、国連本体にはいまだに参加できないことについては、ただ一言、「ヴィートウ(拒否権)だよ」というだけでした。

 つまり、アメリカがヴィートウ(拒否権)を発動して邪魔するので、国連の正式メンバーになれないわけです。アメリカは、ユネスコがパレスチナ加盟を認めたことに腹を立て、ユネスコへの拠出金を止めて事実上、また脱退状態に戻ってしまったのです。ユネスコ財政の22%を占めるアメリカの拠出金がなくなり、ユネスコの台所は火の車だそうです。

 「ヴィートウ」――。国連常任理事国の米、英、仏、露、中の5か国だけが持つ、全ての議案に対する拒否権。1か国でも反対すると議案は成立せず、国連を機能不全に陥れる「大国の横暴権」です。これを5か国だけに認めているため、世界の平和がどれほど阻害されてきたことか。

 松浦さんも、「大国の横暴」を苦々しく思っているようですが、そこは元外交官。あからさまには表現することは避けた口ぶりで、少し物足りなくも感じられました。

 *本日の「箕面通信」は、「フランス通信」と名付けました。孫二人と遊びながらゆっくり過ごした2週間のフランス滞在。それもいよいよ終わり、明日4月15日(水)は昼に立つエール・フランス便で大阪に戻ります。

 


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