生き生き箕面通信

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1941 ・子どもたちの貧困――人口減少社会へ対応しなければならない時、これが実態

2014-04-16 07:34:00 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信1941(140416)をお届けします。

・子供たちの貧困――人口減少社会へ対応しなければならない時、これが日本の実態

 「人口減少による労働力不足が一層深刻になってきた」という内容の日本総人口推計が昨日4月15日、総務省から発表されました。

 昨年10月1日現在の人口推計で、3年連続の減少。減少幅は21万7千人と過去最大。生産年齢人口(15~64歳)は8千万人を下回った。65歳以上の高齢者の割合は総人口の4分の1を超えた。典型的な「超高齢・少子社会」になってきた。人口が今後も減り続ける傾向は、止められない。

 深刻なのは、「子どもの6人に1人が貧困状態にある」という実態です。

 「チャイルド・プア 社会を蝕む子どもの貧困」(TOブックス)を書いた新井直之氏(NHK報道番組ディレクタ―)は、「学校給食だけが唯一の食事だという小学生。一家で夜逃げをせざるをえなくなり、2年間、車上生活で勉強が大幅に遅れてしまった中学生。家庭崩壊から10代でホームレス生活を送った男性……」を取材しています。

 自らの意思とはまったく無関係に貧困状態に置かれた子どもたち。そんな子どもたちの貧困は、「意識して見ようとしないと見えない」「子どもの貧困を隠しているのは他ならぬ、大人なのではないか」

 よくよく見ると、経済的な厳しさ以上に、子どもたちが劣悪な家庭環境に置かれているケースが多いそうです。例えば、親による虐待やネグレクト(育児放棄)を受けている。あるいは、親が精神疾患を抱えていたり、ギャンブルやお酒に依存していたりして、家庭が崩壊しているケースなどが少なくない。

 
「貧しい家庭で育っても、努力して勉強すればそこから抜け出せるはずだ」というのはもはや幻想かもしれない。貧しい家庭に育つ子どもには努力する土台すら与えられていないのではないか。

 食事も満足に与えられなかったり、母子家庭で自分が幼い弟や妹の世話をしなければならなかったり、親から日々暴力を受けていたりしていれば、そもそも勉強の意欲なんて湧くわけがありません。

 社会の標準的な所得の半分以下の所得しかない世帯のことを「相対的貧困世帯」と呼ぶのですが、金額でいうと2人世帯では177万円、3人世帯で217万円など。比較的新しいデータでは、子どもの「6人に1人」が相対的貧困状態にあり、子どもの相対的貧困率は15.7%、実数で232万人だそうです。

 しかも、1990年代に入ってから、子どもの貧困率は大きく上昇していて、その上昇率は他のどの年齢層よりも高くなっています。

 新井氏は、「近年、格差や貧困がますます広がる中で、そのしわ寄せを最も敏感に受けているのは、子どもたちだということでしょうか」といい、さらに「日本の母子世帯の貧困率が国際的に見ても際立って高く、有効な対策が未だに打たれていない背景のひとつには、シングルマザーの方々への無理解があるのかもしれません」と考えています。

 「豊かなはずの現代の日本で、所得が低くて苦労している女性は、『努力が足りない』とか、『仕事を選んでいるからではないか』などと、個人の心の問題として自己責任を問われる風潮があるように感じます」

 「国を動かす政治家や官僚、企業のトップの多くが、こうした社会の底辺で暮らす人たちの生活を想像すらできないとすると、さらに悩ましい状況です」

 小泉政権から特に目立ってきた「自己責任」思想の押しつけ。市場原理主義の背景となる思想で、とくに気のいい責任感の強い人の間に浸透しました。

 その結果、日本社会のボロボロ化が進みました。そして、みんなが気がついた時には、もう手遅れというところでしょうか。

 それでも真剣に抜本的な手を打とうとする兆しは見えません。現実に進んでいるのは、問題の先送りです。子ども性質の貧困化はますます酷い状態になっていきます。シングルマザー問題も、深刻化していきます。

 もうリカバリーショットも打てそうにありません。日本社会は、落ちるところまで落ちるモードに入ったようです。「第3の矢を急がなければ」と成長至上主義の安倍政権が続くかぎり、抜け出す道さえ模索できそうにありません。

 それでも、「超高齢・少子社会へ適応する道」を探らざるを得ない時機が、すぐに訪れます。