おはようございます。
生き生き箕面通信1710(130828)をお届けします。
・ アメリカがおかしい――「私には夢がある」はどこへ
オバマ大統領が行き詰っています。大統領選挙中に公約したことをつぎつぎに反故にせざるを得ず、いまや支持者離れが止まりません。そして、アメリカの財政危機がまた、目の前に迫ってきました。
パレスチナとイスラエルの和平は一向に進まないどころか、事態は悪化しています。シリアでの内戦についても、また、エジプトの政府軍による自国民虐殺問題でも、打つ手に窮しています。
国内でも、オバマ氏が最大の重要公約に位置づけた国民皆保険(医療保険制度改革)制度の推進は、オバマ・ケアとして形の上では成立したものの、26州が連邦政府を訴え、フロリダ州では違憲判決が出されるなど実効性が危ぶまれています。仮に決まった通り実現するとしても、アフラックなどの民間保険会社に国民が搾り取られるだけになりそうです。政策の狙いとは似ても似つかぬ結果になりつつあります。
オバマさん率いるアメリカはどこへ行こうとしているのでしょうか。かつて白人と黒人の人種差別解消を求めたキング牧師は、「私には夢がる」と訴え、差別解消へ大きな流れを作りました。アメリカは、人権を大事にする国のリーダーとして輝くかに見えたときもありました。
オバマさん自身、「チェンジ」を合言葉に、黒人系初の大統領として当選したときには、「アメリカは変わる」と、大きな期待を持たせました。とくに、就任早々、「核兵器全廃」の演説で世界に感動を与え、ノーベル平和賞まで受賞したときは、本当に核兵器の恐怖が減少するかも、と思わせました。
ところが、実際にやってきたことは、ウオール・ストリートの代弁人に成り下がったようなことばかり。グローバル資本の使いっパシリのようなみっともない姿に落ちぶれてしまいました。核兵器全廃など、夢のまた夢。
2期目は、今年就任したところですから、まだあと3年半あります。しかし、アメリカ国内はオバマ政治にすっかりしらけ切っているように見えます。熱烈に支持した若い層も、今はオバマ批判に様変わりです。
なぜ、こんなことになったのでしょうか。もとはといえば、大統領選挙中、ウォールストリートに象徴されるグローバル資本から巨額の献金を受け取ったところで、「勝負あった」でした。巨額献金を受け取ったということは、「あなた方、グローバル企業さんのいうことを聞きますよ」というメッセージだからです。
しかし、グローバル企業を中心とする市場原理主義、あるいはマネー資本主義そのものが行き詰まりを見せてきました。
行き詰り現象のせいか、いつもならそろそろ次の大統領候補が取りざたされる頃にもかかわらず、せきとして声なし。わずかに、ヒラリー・クリントン前国務長官が上がっている程度。ヒラリーさんは以前から取りざたされていた、何のサプライズもありません。
問題は、共和党です。政権を取り戻したい共和党としては、さまざまな候補が入り乱れてもおかしくないはずですが、表面上は何の動きも見られません。実際に、人材不足のようです。
アメリカ自動車王国の牙城だったデトロイト市が行き詰り、廃墟のような様相を呈しています。アメリカの先行きを暗示しているのでしょうか。「私には夢がある」といえるのは、ウォールストリートの超富裕層だけになったのでしょうか。アメリカがおかしい。