ジャクソン・ポロック作、インディアンレッドの地の壁画
(Mural on a Red Indian Ground), 1950, テヘラン現代美術館蔵
■ 北朝鮮から将軍さまが去り、
イラクから米軍が去った今、
なぜかしら、近いうちに核武装するだろうとみなされているイランから、
キャンバスに塗料を滴らせて描いた絵画がテヘランから来ている。
と奇を衒って書くまでもなく、ジャクソン・ポラック展が日本で開かれているのだ。
そのうちのポロックの代表作が「インディアンレッドの地の壁画」。なぜかしら、テヘランの美術館にある。
ちなみに、ポロックの"代表作"は絵画史上最高値の1億4000万ドル(168億円)を付けた、No5です。
今回は集められていません。
こういう絵をアクションペインティングと分類します。できた造形よりも創作手法に着目する見方です。
おいらは、形そのもが好きです。ポラック以降のとにかく肉体でもなんでも使ってアクションペインティング。そしてできた絵図はグロテスクっていうのは好みではありません。
ポラックの絵の 非対称性 ある種のランダムさ、そして流線性が好きです。日本人好みのような気がします。書にも通じそうだし。尾形光琳っぽいところもあります。梅の具象の横の意味不明な抽象画像だけど、うれしい図柄に注目!
▼テヘラン現代美術館蔵と聞いて、にこにこしてしまうことがあります。
イラン・ペルシャ文明はイスラムの文明です。図柄として非常に対称性を重んじます。アラベスク模様っていうやつです(google画像)。
(イランはアラブ人ではないのですが、イスラム文明の影響なんでしょう)。イスラム庭園とか、樹木を刈り込んで、対称的に配置しています。
そういう対称性を重んじる視線から見て、こういうポラック流の線が非線形に丸く流れるように走るというのは、ぎょっと、するに違いないのです。
■ 読売アンデパンダン展
知らなかったょ、そんな展示会。1951年というのだからまだ占領下ではないか。とびかん(東京都美術館)で開催。
ポロックの作品が初めて日本で披露されたのが、この1951年に東京都美術館で開かれた読売アンデパンダン展。
読売アンデパンダン展というのは、文字通り無所属(independent)の作家の展覧会(wiki)。
The piece in Tehran
●生誕100年 ジャクソン ポロック展、現在、名古屋の愛知県美術館で開催中。
この後、2月から5月までは、東京国立近代美術館へ。
*なぜかしら、テヘランの美術館にある。
おそらく、パーレビ時代に、すなわちイスラム原理主義革命によるホメイニ政権樹立の前に、西洋流に世俗化し、かつオイルマネーを持った好事家がポロック作品を購入したのだろう。イラン革命の時、それが私物で、没収されたからテヘラン現代美術館なる所に保有されているのかは不明。