語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】電力自由化はまず関電から ~関西のエネルギー地産地消~

2012年07月12日 | 震災・原発事故
(1)東京電力の株主総会
 東電の発行済み株式数の2.66%を保有する東京都から、猪瀬直樹・副知事が乗り込んだ。
 その提案・・・・経営の透明化、設備投資の発注先決定に競争入札、関係者専用の東電病院の売却など。
 「東電病院を一般人に解放していない」といった個別具体的主張は、マスコミが飛びつきやすい。
 しかし、「債務超過だから東電を法的整理せよ」といった抜本的改革案は出していない。法的整理を行えば、東電の株券は紙くずになり、株主である東京都も痛手を負うからか。

(2)関西電力の株主総会
 関電の発行済み株式数の8.92%を保有する大阪市から、橋下徹・市長が乗り込んだ。
 その提案・・・・速やかな原発全廃、国・自治体OBの受け入れ停止、役員報酬の個別開示、役員数の半減など。
 「速やかな原発全廃」は、国の原発政策に依存しすぎると関電の経営問題になる、という点を衝いている。株主として筋が一応通っている。
 しかし、どこか、主張に迫力を欠いていた。配当を少々得て、株主総会で3分間質問しても何も変わらない、ということが分かっていたからか。
 橋下市長は、株総終了後、関電売却も視野において検討する意向を明らかにした。

(3)東京電力
 国民が望むのは、東電の法的整理、電気料金値上げの回避だ。
 東電を法的整理すれば、株主責任や債権者責任を問えるので、少なくとも5兆円捻出できる。東電は、民間の電気料金を10%程度値上げしようと目論んだが、この5兆円の「財源」が確保できれば、10%の値上げを10年間抑制できる。
 にも拘わらず、民主党政権は昨年、「東電救済法」を成立させ、東電の法的整理への道をふさいだ。そして今年の民自公の密室談合による消費増税と同じく、庶民に負担を強いる道を選んだ。

(4)関西電力
 大阪市は、関電の株を売却するなら、大阪市民に売却して、市民に市民の目線で関電を監視してもらうとよい。
 大阪市と大阪府は、大阪「都」を経て、いずれ関西州の一部になるだろう。
 地方ごとにまったく違った政策を実行できるのが地方分権だ。
 電力の安定的供給、しかも安い料金にするべく、そしてエネルギーの地産地消のため、関電に対する監督・規制権を経産省から関西州へ移すのだ。株主であることに拘らずに。そして、発送電分離の電力自由化を関西から行うのだ。そうすれば、東京都より早くエネルギー問題を解決できる。

 以上、ドクターZ「電力自由化はまず関電から ~ドクターZは知っている~」(「週刊現代」2012年7月21・28日号)に拠る。
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