(1)1号機
2012年6月27日、福島第一原発1号機の建屋内の圧力抑制室外側で、10.3Sv/hが検出された。
1号機建屋の地下1階には汚染水が溜まっている。東電が水面の直上の放射線量を測定したところ、この数値が出た。人間が浴びると即死するレベルだ。
1号機の中心は、もはや人間が立ち入れないレベルまで汚染されている。
(2)4号機
4号機の外壁に、これまで発見されなかった大きな傾きが生じていたことが分かった。
5月、東電による4号機外壁調査の結果、原子炉建屋の西側に、水素爆発の影響で生じた傾きが確認された。
6月、東電が改めて詳細な調査を行った結果、前月の調査よりもさらに広い範囲で傾きが確認された。
東電は、この傾きは建築基準法の定める制限値を下回り、耐震性に問題はない、と報告した。
だが、(a)原子炉建屋は、建築基準法の規定を適用するだけで終えて済むのか。(b)そもそも4号機の地盤が不安定になっている(専門家の指摘)。
東電は4号機の耐震工事を行ったので震度6強まで耐えられる、としている。しかし、先の原発事故で4号機がどこまで壊れたのか、正確には分かっていない。日々新しい損傷が発見されているような有様だ。「耐えられる」などと言えるわけがない。【桜井淳・技術評論家/日本原子力研究所出身】
仮に建屋が地震で倒壊しなくとも、別の問題がある。地震による冷却システムのパイプ損傷だ。4号機の貯蔵プールには、使用前・使用後のものを合わせて1,500体の核燃料が保存されている。水を循環させていることでこれらを冷却しているが、水を循環させるパイプは仮設のもので、どの程度揺れに耐えられるのか、東電はもちろん、誰にも分からないのだ。
万一、このパイプが壊れたら、冷却が止まり、核燃料が剥き出しになる。だが、これを修理するための人材確保や指揮系統確立を東電はまったく行っていない。
万一、このパイプが壊れて冷却が止まったら、いかなる惨劇が起こるか。
剥き出しになった核燃料の温度が上がり、崩壊熱によって放射性物質を格納している容器が燃え出す【注1】。すると、昨年の事故の10倍の放射性物質が放出される【注2】。放射能に汚染される地域は、昨年の事故で汚染された地域の10倍になる。首都圏3,000万人に影響が及ぶ【注3】。【桜井淳】
(3)使用済み核燃料
4号機をめぐる状況は最悪だが、なぜ危険な核燃料が原発施設内に保管されているのか。
他に持って行く場所がないからだ。
政府は、各原発で大量に発生する核燃料は青森県六ヶ所村で再処理し、再利用するという方針を進めている。
しかし、六ヶ所村ではたび重なる事故・トラブルのため、再処理実験が完全にストップしている。6月18日から再処理実験が再開したが、基本的な技術面で問題が指摘され、今後うまくいく見通しは暗い。【宮永祟史・弘前大学大学院教授】
核燃料サイクル計画は破綻している。六ヶ所村再処理工場は、ただの使用済み核燃料貯蔵地に化している。そして、六ヶ所村も、保管可能容量の97%が埋まってしまった。これ以上、使用済み核燃料を受け入れられない。ために、使用済み核燃料は核原発施設内の貯蔵プールに保管しておくほかはない状態なのだ。
今や、多くの原発施設で貯蔵プールの容量が満杯に近づいている。大飯原発69%、伊方原発63%、玄海原発78%、柏崎刈羽原発79%だ【2011年9月現在、内閣府の資料】。
六ヶ所村が保管する核燃料、国内最大の2,860トンのうち、わずか1%(30トン)が再燃焼し、放出されただけで、北海道から首都圏まで、急性障害を引き起こすほどの放射性物質が撒き散らされる。
少なくともダメージが深刻な4号機の使用済み核燃料は、今すぐ何処か別の場所に移さなければならない。それをやらないまま原発を再稼働することは、国を殺めることになりかねない。【北澤宏一・福島原発事故独立検証委員会委員長】
民主党野田政権は、日本を殺しかねない大飯原発再稼働を決めた。
【注1】燃料の間隔は30cm以上空いているし、空焚きになって水がなくなるし、ホウ素はあるので爆発はしない。【「福島4号機を考える1 爆発までの時間(1)核爆発」、武田武彦(中部大学)】
【注2】「【原発】4号機が「爆発する危険」の可能性」
【注3】「【震災】原発>250km圏内は避難対象 ~機密文書「近藤メモ」~」
以上、記事「福島第一原発4号機が再び傾きだした 大飯原発再稼働 使用済み核燃料が燃え始める」(「週刊現代」2012年7月14日号)に拠る。
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2012年6月27日、福島第一原発1号機の建屋内の圧力抑制室外側で、10.3Sv/hが検出された。
1号機建屋の地下1階には汚染水が溜まっている。東電が水面の直上の放射線量を測定したところ、この数値が出た。人間が浴びると即死するレベルだ。
1号機の中心は、もはや人間が立ち入れないレベルまで汚染されている。
(2)4号機
4号機の外壁に、これまで発見されなかった大きな傾きが生じていたことが分かった。
5月、東電による4号機外壁調査の結果、原子炉建屋の西側に、水素爆発の影響で生じた傾きが確認された。
6月、東電が改めて詳細な調査を行った結果、前月の調査よりもさらに広い範囲で傾きが確認された。
東電は、この傾きは建築基準法の定める制限値を下回り、耐震性に問題はない、と報告した。
だが、(a)原子炉建屋は、建築基準法の規定を適用するだけで終えて済むのか。(b)そもそも4号機の地盤が不安定になっている(専門家の指摘)。
東電は4号機の耐震工事を行ったので震度6強まで耐えられる、としている。しかし、先の原発事故で4号機がどこまで壊れたのか、正確には分かっていない。日々新しい損傷が発見されているような有様だ。「耐えられる」などと言えるわけがない。【桜井淳・技術評論家/日本原子力研究所出身】
仮に建屋が地震で倒壊しなくとも、別の問題がある。地震による冷却システムのパイプ損傷だ。4号機の貯蔵プールには、使用前・使用後のものを合わせて1,500体の核燃料が保存されている。水を循環させていることでこれらを冷却しているが、水を循環させるパイプは仮設のもので、どの程度揺れに耐えられるのか、東電はもちろん、誰にも分からないのだ。
万一、このパイプが壊れたら、冷却が止まり、核燃料が剥き出しになる。だが、これを修理するための人材確保や指揮系統確立を東電はまったく行っていない。
万一、このパイプが壊れて冷却が止まったら、いかなる惨劇が起こるか。
剥き出しになった核燃料の温度が上がり、崩壊熱によって放射性物質を格納している容器が燃え出す【注1】。すると、昨年の事故の10倍の放射性物質が放出される【注2】。放射能に汚染される地域は、昨年の事故で汚染された地域の10倍になる。首都圏3,000万人に影響が及ぶ【注3】。【桜井淳】
(3)使用済み核燃料
4号機をめぐる状況は最悪だが、なぜ危険な核燃料が原発施設内に保管されているのか。
他に持って行く場所がないからだ。
政府は、各原発で大量に発生する核燃料は青森県六ヶ所村で再処理し、再利用するという方針を進めている。
しかし、六ヶ所村ではたび重なる事故・トラブルのため、再処理実験が完全にストップしている。6月18日から再処理実験が再開したが、基本的な技術面で問題が指摘され、今後うまくいく見通しは暗い。【宮永祟史・弘前大学大学院教授】
核燃料サイクル計画は破綻している。六ヶ所村再処理工場は、ただの使用済み核燃料貯蔵地に化している。そして、六ヶ所村も、保管可能容量の97%が埋まってしまった。これ以上、使用済み核燃料を受け入れられない。ために、使用済み核燃料は核原発施設内の貯蔵プールに保管しておくほかはない状態なのだ。
今や、多くの原発施設で貯蔵プールの容量が満杯に近づいている。大飯原発69%、伊方原発63%、玄海原発78%、柏崎刈羽原発79%だ【2011年9月現在、内閣府の資料】。
六ヶ所村が保管する核燃料、国内最大の2,860トンのうち、わずか1%(30トン)が再燃焼し、放出されただけで、北海道から首都圏まで、急性障害を引き起こすほどの放射性物質が撒き散らされる。
少なくともダメージが深刻な4号機の使用済み核燃料は、今すぐ何処か別の場所に移さなければならない。それをやらないまま原発を再稼働することは、国を殺めることになりかねない。【北澤宏一・福島原発事故独立検証委員会委員長】
民主党野田政権は、日本を殺しかねない大飯原発再稼働を決めた。
【注1】燃料の間隔は30cm以上空いているし、空焚きになって水がなくなるし、ホウ素はあるので爆発はしない。【「福島4号機を考える1 爆発までの時間(1)核爆発」、武田武彦(中部大学)】
【注2】「【原発】4号機が「爆発する危険」の可能性」
【注3】「【震災】原発>250km圏内は避難対象 ~機密文書「近藤メモ」~」
以上、記事「福島第一原発4号機が再び傾きだした 大飯原発再稼働 使用済み核燃料が燃え始める」(「週刊現代」2012年7月14日号)に拠る。
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