ミステリ好きを広言していても、犯人当てが得意なわけじゃない。自分より一歩(あるいは半歩)先を行く名探偵が、あらゆる伏線を回収しながら事件を解説してみせる、その過程が好きなだけなんだと思います。
なかには、ノートをとりながら事件を考察し、探偵よりも先に犯人を見つけ出す(つまりは、作家を出し抜く)ことに懸命なマニアもいる。エラリー・クイーンや有栖川有栖のように、フェアに手がかりをさらす作家もいることだから、それはそれで楽しいんでしょう。でもそれだとそれだと時間がかかってしょうがないじゃないですか(笑)。
で、そんなわたしが道尾秀介の大評判のミステリ「いけない」(文藝春秋)を読んでしまった。うわあ時間がかかってしょうがない!だって二度三度と読み返すことになったから。
というのも、この本の帯には『本書の御使用法』が載っており
・まずは各章の物語に集中します。
・章末の写真をご覧ください。
・隠された真相に気づきましたか?
・「そういうことだったのか‼」
だまされる快感をお楽しみください。※再読ではさらなる驚きを味わえます。
……真相に気づきましたか?と挑発されれば、ものぐさなわたしだって挑戦したくなるというもの。中篇が三つと終章から成るこの作品はタイトルからして油断がならないのだ。
たとえば第一章「弓投げの崖を見てはいけない」は、「ゆ・身投げの~」だし、終章の「街の平和を信じてはいけない」には、まさしくこの作品のテーマともいえるトリックがしこんである。
宵のうちに読み始め、読み終えたのが午前2時くらい。時間かかったなあ。正直に言えば第一章の謎は見誤ってたし(わたしは地図が読めない男)、第三章はよくわからなかった(笑)。しかし終章のオチには感服。おみごと。
これから読む人へのアドバイス。あまり考えすぎるな!ひっかけも用意してあるぞ!
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