事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「スウェーデン館の謎」 有栖川有栖著 講談社文庫

2016-05-18 | ミステリ

Aという家とBという家がすこし離れて隣り合っている。近くには川が流れている。Bの家から火が出た。バケツはAの家にしかなく、消火に向かわなければならない。さて、あなたはどのようなコースがもっとも的確だと思うだろうか。

図にしてみるとわかりやすい。ネットからいただきました。


 
こんな感じ。わたしはひねくれ者なので

「消防署に電話するのがもっとも的確」

とか考えたんだけど、そういうトンチ問題じゃない。あくまで、実際に即したクイズなのだ。大人の多くはAの家からまっすぐ川に向かい、そのままBに向かう二等辺三角形を考える。でもね……

登場人物が出したこのクイズに、一瞬で正解したのがおなじみの火村助教授(いまは准教授ですか)だった。

「スウェーデン館の謎」は、典型的な雪の山荘もの。犯人の足跡がないことにどのような合理的な解決を提示できるかが勝負の本格ミステリ。わたし、上の問題と同じように唖然とするほど納得。国名シリーズのなかでも上位の出来だと思います。ドラマ化はいろいろと言われているようだけど、こうやって原作がどんどん重版してるのだからありがたい話だ。

え?上の答はなんだって?

あなたもきっと実際にその場に行けば正解できるはず。問題は、走る総距離ではなく、バケツを持って走る距離なんです。このような実質に裏打ちされた推理。さすが有栖川。さすが火村。

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