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今月の名言シリーズでは、舞台あいさつを何度もとりあげてきた。特に登場回数が多かったのが三谷幸喜と大泉洋。彼らは日本を代表するコメント芸人だと断言できる。ところが、そこへ飛び込んできたのがあの大女優だ。
「セリフがあまりに早口で分からないからよ」
「駆込み女と駆出し男」の大ヒット御礼の舞台あいさつで、リピーターが多いことを知らされた樹木希林の発言(笑)。
確かにこの映画では速射砲のようなセリフの応酬が何度も何度もくりかえされる。大泉洋VSキムラ緑子の初対面のシーンはその代表。シネマブロガーのなかにもその点に不満をもらす人もいた。うーん、わたしはあのリズムこそが原田眞人が描きたかった部分だと思うのだが。
樹木希林の毒舌は止まらない。トロントでの日本映画祭におけるあの作品のタイトルが「KAKEKOMI」だったと知ると
「日本もそのくらいにしてもらわないと。私もいまだに覚えられないんだから」
言いたい放題です(笑)。もっとも、彼女の発言が辛辣なのは今に始まったことではなくて、その昔、久世光彦の不倫を断罪したのは彼女ではなかったか。
今回も本当の毒はもっと別の部分に仕込んであった。
「私はキャスティングの全部が全部、ピタッと合っているとは思わない。ある人については、リハーサルの時から監督に“変えるなら、今”と言っていた。でも監督は、きれいな人に目がないから」
……誰のことなんですか(笑)。ちなみに、この映画に出演している美人女優といえば、戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華……こんな軽口を叩くのは、「わが母の記」で原田監督を信頼した故だろう。久世にしても、悪口をいえるほど有能だったのだ。
にしても、近ごろの樹木希林の充実ぶりはすごい。もう怖いもののなくなった彼女の、これからのコメント芸に期待しよう。
2015年7月号「コメント芸人の対決」につづく。
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