といっても、オリジナルの読者であることをとうにやめているし、あぶさんの展開が三冠王になっていたりすることで(そうでもなかったら四十年も連載は続かないのは承知しています)、酒仙な男が業界のすれすれの線を渡り歩く基本が薄れていたこともあって縁遠いものになっていた。
でも、過去形になる前に言っておかなければ。パ・リーグは絶対に水島新司の貢献を忘れてはいけないと。景浦安武という架空の存在が、どれだけ巨人中心のプロ野球をひっくり返して見せたかと。
これはもう、巨人ファンのわたしだからこそ声高に言う。もう過去の話になっているから大声で言う。パ・リーグにドラフトで指名されることは新人にとってなかなか微妙だった。いろんな有望選手が「在京セ」を志望したのは、“マイナーな存在”であるパに行きたくないというのとほぼ同義だったのだ。
だけど今は福岡があり、北海道があり、仙台があるパの方が健康な状態にある。それを後押ししたのは明らかに新潟県人である水島新司。そんな彼が、ドカベンをセ・リーグに所属させるはずもなかったわけだ。
水島と野村の確執の事情はよくわからない。でも、初期のあぶさんにおいて、現役だった野村が審判に「あんさん外角が渋くなったな」と“つぶやく”あたりの味は得難いものがあった。いま野村にこのことをインタビューする根性のあるメディアはあるのかな。
スーパースターでありながら、最後まで陽性な部分を見せなかったヒーロー。それは水島が本気で求めたヒーロー像であったはず。サチ子が初めて安武を独占できる瞬間の到来だ。あ、麻衣子さんはどう思ってるのかな(マニア向け)
昔の「すすめパイレーツ」や下手すると「がんばれタブチくん」みたいなのって今じゃ無理なんだろうなあ。
わけだ(笑)
そこで思い出されるのがいしいひさいちで、
キャラクターとしてのタブチが
「ひとの悪口でさんざんもうけやがって!」
とキャラとしてのいしいをぶんなぐっているコマ。
やっぱりいしいは天才(笑)