事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「トーク・トゥ・ハー」talk to her

2008-01-20 | 洋画

Talktoher1 製作年 : 2002年
製作国 : スペイン
監督 : ペドロ・アルモドバル
出演 : レオノール・ワトリング/ハビエル・カマラ/ダリオ・グランディネッティ/ロサリオ・フローレス/ジェラルディン・チャップリン

事故で昏睡状態になったダンサー、アリシア(レオノール・ワトリング)。彼女を慕うベニグノ(ハビエル・カラマ)は、4年間、看護士として親身にアリシアを世話し、語りかけてきた。その頃、女闘牛士のリディア(ロサリオ・フローレス)が、競技中に大怪我を負い昏睡に陥った。悲嘆にくれる恋人のマルコ(ダリオ・グランディネッティ)を、ベニグノは「彼女に話しかけて」と諭す。愛する女性が同じ境遇にいる2人は、次第に心を通わせていった。そんなある日、アリシアが妊娠していることが発覚する…。

 組合の役員になって、たったひとつ、ほんとにたった一つだけ良かったことは、“旅費をもらって映画が観れること”。あー怒らないでー。

山形の映画事情は、ここ十年でアッという間に変わってしまった。上山、米沢、新庄といった中核市から映画館が消え、しょせん他人事だと油断していたら、地元の酒田からまですべての映画館が消え去った。人口十万人が映画館を維持するデッドライン、こんなセオリーはみごとに吹き飛んでいる。その代わり、シネコンが席巻している事情は全国どこでも似たようなものだろう。最初に進出したのは米沢へワーナーマイカル。続いて三川町にジャスコのイオンシネマ。県都山形にどこがやってくるかと思ったら、なんと地道にアート系の映画を上映し、それなりの評価を得てきた映画館フォーラムが、駅ビルの地下にソラリスなるオタクな名前のついた(わかります?)シネコンを開設した。これにはびっくり。山形県の映画興業は宮崎合名社というシネマチェーンが牛耳っていて、てっきりそちらがシネコンを立ち上げるか(秋田にはこの会社がつくったらしい)、あるいはUCIやヴァージンといった大手がやってくるものと思っていたから。

Talkher  これは、福島のフォーラムが外資のシネコンに蹴散らされそうだから先手をうったという背景もあるだろうが、フォーラムの企業としての姿勢の結実ともいえるだろう。ドキュメンタリー映画祭の成功(これは日本における国際映画祭では唯一世界に誇れる存在)にみることができるように、実は山形市民は映画に関して総じて目が高い。人口あたりの映画館の数も全国有数。そのすべてを、とは言わないがフォーラムが育んできたわけで、だからこそ弱小資本の大ばくちが山形において成立した……こんな感じじゃないだろうか。
 そして、まったくの偶然なのだが、わたしが常に出張する山形県教育会館はそのフォーラムのすぐそばにあるのである。あわわ違った。教育会館のすぐそばにフォーラムがあるんでしたね(笑)。おかげをもちまして、酒田に住んでいては絶対に観ることのできない単館系の映画をたっぷり楽しむことができるようになったのである。

 で、そんな不良組合執行委員が先日楽しんだのがこの「トーク・トゥ・ハー」。名前も知らなかった映画だが、なんとアカデミーの脚本賞まで受賞しているスペイン映画である。

 いやしかしこれはとんでもない映画だった。冒頭のストーリー紹介でもわけわかんないでしょうが、実際に観てみたらもっとわけわかんないです。いや、ストーリー自体はいっそシンプルに、二人の昏睡する女性と、彼女らにつきそう男たちの愛憎の物語なのだけれど、そんなことよりこいつははっきりとセックスに関する映画なのだ。

 男根を象徴する闘牛の角、そしてそれに貫かれ、昏睡に陥る女性闘牛士。怠惰な母親を介護することに青春を費やし、ノーマルな性欲も知らぬ間に成長した青年ベニグノが、たった一度体験した性交渉が生む奇跡。数多くのシンボライズが仕込まれた映画だけれど、なんと劇中劇である無声映画には、女陰そのもののセットまで出てきて、縮みゆく主人公がそのなかに入っていくという、フロイトやユングだってここまで露骨にやらんだろうというシーンまで。

 ラストシーンがしゃれているんだけど、こいつはビデオになったときに確かめてください。こりゃー面白いっす。これだからマイナー映画はやめられないんだが、真っ昼間にネクタイをしめてこんな映画を観て、どのツラ下げて交渉に向かうんだオレはしかし。

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