2度観た。それだけの価値のある作品。2回目はポイントを貯めてゲットした招待券で入ったのでえらいことは言えないんだけど。
森博嗣原作による世界観がまずすばらしい。戦争すら民営化され、国民はテレビのニュースで他人ごとのように戦況を知る時代。実際に戦闘に従事するのはキルドレと呼ばれる不老不死の少年少女たち……
「うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー」や「攻殻機動隊」「イノセンス」などで常に“リアル”への懐疑を訴えてきた押井守が、若い観客のためにつくりあげた作品、ということになっている。最初に観たときは、しかしそれは何かの冗談ではないかと思った。【永遠に生きられる】ということは【死んでいる】こととほぼ同義ではないかという陰鬱なメッセージが、はたして若い連中に受け入れられるのかと感じたから。
加瀬亮と菊地凛子が吹き替えたキルドレたちは、陽光あふれる空中戦以外は、暗く、ひと気のない基地や娼家で、まるで幽鬼のように生気なく日々をすごしている。
行きつけのダイナーの入口で、老人が力なく座り込んでいるシーンが何度も挿入される。
「あれ、意味がわかんなかったな」といっしょに観ていた中学生の娘に言うと
「“生きてない”って感じだから、キルドレは自分たちみたいだって思ったんじゃない?」
娘よ、ナイス。そうかも。
しかし2度目に観たときは、彼ら彼女らがとった行動が、どんな生にも意義を見つけていこうという、ちょっと恥ずかしいくらいのポジティブさにあふれていることが理解できた。特にラスト。ヒロインの毅然とした表情は(エンドタイトルがはじまっても絶対に席を立たないこと!)キルドレにとっての“永遠”の意味をワンショットで示していてすばらしい。
「イノセンス」の暗さに辟易した観客(わたしわたし)にとっても、これからの押井作品にふたたび期待をいだかせるに十分な傑作。女性整備士を演じた榊原良子(パトレイバーの南雲隊長です)が、キルドレの不幸をうけとめる大人を感じさせて泣かせる。戦闘シーンもすげーぞー。
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