事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「永続敗戦論」 白井聡著 太田出版

2016-12-14 | 国際・政治

わが首相の近ごろの動きは、日本人のひとりとして少なからず恥ずかしいかぎりだ。

・米大統領選ではトランプの勝利を読み切れず(外務省の情報収集能力がうかがい知れる)

・結果が出た途端、まわりの首脳たちはトランプの動向をうかがっている段階なのに、まだ大統領にもなっていない人物と「急げ!」とばかりにどこよりも早く会談をセッティング“してもらい”

・どんな会談内容だったかは明かせないとしているのに、アメリカのTPP離脱を翻意させることに自信があるようなふりをし、

・トランプ氏は信頼に足る人物だったと持ち上げ

・APECの会合では日本が主導して自由貿易を推進すると主張

・外遊最終日に「アメリカ抜きのTPPでは意味がない」と会見。

ところが、わずかその1時間後に肝心の次期大統領は「就任初日にTPPから脱退する」とのビデオメッセージを……

本来なら、ここは日本の首相として怒ってみせなければならないところだ。プライドのかけらでもあれば。

でもそうはならない。マスコミも、国辱ものだという論調ではほとんど報じない。

米軍の駐留における「思いやり予算」(なんてすばらしいネーミングだろう)にしても、実態は明らかな「朝貢」(ちょうこう……王に対して周辺国=夷狄が貢物を送り、見返りに王は……なこと)なのに。

なぜアメリカの靴先をなめるような状況が、独立国として問題にならないのか。ナショナリストたちはなぜアメリカを批判しないのか。白井聡の「永続敗戦論」は、そのあたりを読み解いてくれる格好の書だった。以下次号

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