事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「寺院消滅」 鵜飼秀徳著 日経BP社

2015-12-22 | 社会・経済

日本創生会議がまとめた「地方消滅」は、多くの自治体が、特に若い女性住民の減少などの要因で、自治体として成立しえなくなることを警告した書だった。今日の新聞発表だと、酒田がまもなく東根に抜かれてしまうらしいなど、ちょっとびっくり。

あまりの反響に、その予測はあり得ないとする反論も寄せられているようだが、グローバル経済のもとで、安価な労働力を国内ではなく海外に求めることが当然のこととされている現在、地方から都会への人口の流出は不可避だし、地方がやせ衰えていくのは自然な流れだと思う。それがいいとか悪いとかではなくて。

さて、人口がどんどん減って行けば、ある時点で破断するように集落がまるごと消える。現在でも『限界集落』と呼ばれている地域は木端微塵だろう。

その、住民が消えた集落になにが残るか。「寺」と「墓」だろうか。

「寺院消滅」は、全国に7万7000ある寺のうち、すでに2万の寺に住職がいない現状から、住民がいないのに寺だけが残ることなどありえないという冷厳な事実を提起している。

住職がいない寺、というものを都会に住んでいる人にはご想像いただけないだろうか。わたしがいま檀徒の総代になっている寺もまさしくそんな事情なので説明しておこう。

キーワードは「兼務」

地元の市議会の議長までつとめた名物和尚が亡くなって十数年たつ。檀徒としては、地元の有力企業に就職している長男に跡を継いでほしかったところ。しかし(本人も少しはその気になったようだが)、結局は断念。以降、無住の寺になってしまった。

誤解している人も多いようだけれども、寺は住職のものではない。入れ物としての寺は、あくまで檀徒たちが整備し、宗派の本部から和尚が派遣されてくるのが建前。

もちろん、それには数多の例外があるにしても、いったいどうして結果的に1/4の寺に和尚がいない結果になってしまったのか。以下次号

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