本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

夫子之道忠恕而巳矣

2018-12-15 18:03:19 | 漢字

「夫子(ふうし)の道は忠恕のみ」

先日のテレビで

天皇陛下が一番大事にされた言葉は

「忠恕」(ちゅうじょ)

という一言に尽きる、

ということのようです。

 

「忠恕」

まごころを尽くすということと

おもいやりのあること

ということです。

 

原文の

「而巳」(のみ)ということは

もうそれだけでよい

ということで、

最後の「矣」は

きっぱりと言い切る語気を表す

言葉です。

忠恕のみということを

原文の漢字ではさらに強めて

言いきっているということでしょう

 

「恕」という字も

パッと見ると一瞬「怒」と

見間違うようで、

こちらは女に又に心です

恕の方は

如来の如に心という字です

如をじょと読むのは

真言宗のお経では、

「如来」を(じょうらい)と

いうように言いますから

そこから(じょ)というのでしょう。

 

「夫子」(ふうし)というのは

辞書には

知識や徳のある年長者の敬称

というように出ています。

そういうように文としては

いろいろ説明がつくのですが

ただ、

天皇陛下のお心としては

一言で表すと

「忠恕」ということに

尽きるということです。

 

天皇陛下のお姿を見ていて

ふと思うのは

「忠恕」ということは

仏教にある菩薩の修行

「四摂法」(ししょうぼう)

ということと同じではないかと

思うのです。

 

1.布施(財や法を施す)

2.愛語(やさしい言葉をかける)

3.利行(他のために尽くす)

4.同事(人々の中に入り

    苦楽を共にして事業を

    同じくする)

 

災害があればそこに出向き

やさしい言葉をかけられ

温かいまなざしで見つめられ

同じ目線に立って手を握り

励ましの言葉をかけられる

 

まさに「四摂法」を

身をもって実践されているように

思うのです。

 

「忠恕」という二字で

表現されましたが

本当に深いお心を感じます。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする