「 おみくじ 」 馴染み深い言葉ですが、
漢字で書くと 「 御神籤 」 と、とても難しい文字になります。
「 籤 」 という字は、神意を問う竹片、という意味です。
最近では、いろいろなみくじがあって、昔ながらの
六角形の筒を振って、中から竹の棒を出すという
御神籤は少なくなったように思います。
熊本には 「 元三町 」 ( もとみちょう ) というところがあります。
国道3号線を南へ、ちょっと前までは熊本市の最南端の町でした。
坊主の悪い癖で、 「 元三 」 という地名は
「 元三大師 」 ( がんさんだいし ) と、一緒になって
「 がんさん 」 と読んでいたのですが、
どうも、地名になると
「 もとみ 」 と読むようです。
「 元三大師 」 と何か関係があるのでしょうか ??
この近くには、曹洞宗の立派なお寺、
「 大慈禅寺 」 があります。
この 「 元三大師 」 は日本では御神籤の祖といわれている方です。
正月3日に生まれたということで、
通称 「 元三大師 」 として有名になった方です。
遠く中国では、やはり日本の御籤のようなものが残っています。
みなさん本堂の前で、一生懸命祈りながら、
竹の棒が入っている筒をふって、一本棒を出すのです。
よく見ていると、日本の御神籤のように筒に小さな穴がないので、
( 全部開いている状態です )
仕方が悪いと、全部出てしまいます。
何回かやるうちに要領がわかってくると、
上手に1っ本だけ出てくるのです。
そして、日本のように御籤札はなく、
その番号を覚えていて、本堂の裏にいる人に
尋ねると、聞きたいことの内容を教えてくれるということです。
教えてくれる方にも人気があって、
よく当たる方とそうでない方とがあって、
よく当たる方は人気で順番待ちということです。
そういえば、私が東寺の御影堂にいた頃、
ずいぶん使い込んだ御神籤の筒がありました。
昔からのおばあさんはめったな時にしか御神籤を引かないのです。
それも、お大師様の前に行って、一心に祈りながら
札を出します。
そして、御籤札はもらわれなくて、
私のところへ来て 「 〇番 」 とおっしゃるのです。
そうすると、私がやおら種本を出して、
その内容を答える。
というやり方で、御神籤を引かれていたのです。
1番から100番まで書いてあるその本はずいぶん古びたものになっていたので、
昔はやはり、今のような御籤札をもらうのではなく、
自分の出した番号札で、その内容を聞かれていたのでしょう。
意外なところで、御神籤のルーツがつながったような気がしました。