hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

「ガールイエスタデイ」を読む

2008年11月28日 | 読書2

桐島洋子著「ガールイエスタデイ -わたしはこんな少女だった-」1999年2月、フェリシモ出版(絶版)を読んだ。

桐島洋子さんの上海での幼年時代から、帰国した葉山での小学、中学生時代の自叙伝少々と、大部分を占めるのがそのまま載せられた駒場高校時代の日記だ。

2008年11月6日の私のブログ「桐島洋子の森羅塾へ」で紹介した森羅塾での自分史「桐島洋子の千夜一夜物語」の少女から高校生時代の話はこの本が種本だ。



三菱財閥の大番頭の祖父を持つ上流、そして斜陽、没落家庭での出来事は映画を見ているようだ。
1954年から1956年の高校時代の日記は、これで本当に高校生かと信じられないほど行動的、奔放でマセている。溢れる情熱と才能、痛快な行動。50年以上前にこんな高校生がいたのだ。
日記といっても行動記録だけではなく、家族の観察・批判、将来への思索など後の桐島洋子を知っているだけに面白く読めた。

父が愛人の家に行き、ただでさえ苦しい家計からその家の子に仕送りしなければならなくなる母の嘆き、言い争い。それでも魅力的な父や母の姿。

すこしづつ互いの気持ちがずれていき、破局に進む恋愛。思い切り良く痛快な彼女でも、そのときの虚しいあがきと自尊心、そして無力感が哀れだ。しかし、その自分を醒めた眼で観察し、日記に書く高校生。作家になるべくしてなった人だと思う。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)
桐島洋子ファンや、戦後に少年少女期を過ごした人はもちろん、こんなに詳細で深い高校生の日記はない。

NHKの連続テレビ小説も、じっと耐える女の子や、やたらと元気な女性ばかりでなく、この本をもとに脚本化したらドラマチックで痛快なドラマになるだろう。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする