hiyamizu's blog

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角田光代、上田義彦『口紅のとき』を読む

2012年03月14日 | 読書2

著者角田光代、写真上田義彦『口紅のとき』2011年1月、求龍堂発行、を読んだ。

角田さんによる6歳、12、18、29、38、47、65、79歳の口紅にまつわる話と、あとがきがわりのちいさなドラマ、上田さんの子供、少女、妻、母などが口紅を塗っている7枚の写真よりなる。101ページの薄い本だ。

私は六歳だった。私の世界は好きなことときらいなことだけで成り立っていた。好きなこと。父のタカイタカイ。祖母のひざまくら。・・・


と始まり、ひとつだけどちらにも分類できないこととして、母が鏡台の前に座ることが挙げられている。一緒にお出かけだと思うが、同時に何か知らない人のような気がするのだ。

亡くなった祖母に口紅を塗っている父を見た12歳。別れるだろう恋人に口紅をもらって初めてつけた18歳。
結婚式へのゴタゴタを経て式前に口紅をつける29歳。
口紅をたまにつける姿を娘に見られて6歳の頃を思い出す38歳。
プレゼントした口紅を17歳の娘がそっとつけるのをこっそり見た47歳。
病室のあの人のためにいろいろな色の口紅を塗る65歳。
施設の食堂で口紅を塗ってもらい、鏡に順番に映る昔の自分を見る79歳。
そして、口紅は角田さんにはとくべつだというちいさなドラマ。



上田義彦
1957年兵庫県生まれ。サントリー、資生堂、無印良品などをクライアントに持つ写真家。国内外の賞を受賞。作家としても自身の家族を撮った『at Home』などで活躍。妻は桐島かれん。この本に掲載されている写真の一枚は、かれんさんで、もう一枚はかれんさんの子供かも(桐島洋子さんそっくりなので)。

角田光代の略歴と既読本リスト


私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

なにしろ101ページの本で簡単に読める。そして角田さんの手練の技を垣間見られる。充分楽しむことはできないが。

上田さんの写真も含めて、もう少しボリュームが欲しい。


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