hiyamizu's blog

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佐藤文隆『物理学の世紀』を読む

2024年09月07日 | 読書2

 

佐藤文隆著『物理学の世紀』(講談社学術文庫2819、2024年5月14日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOK倶楽部の内容紹介

「物理帝国」の栄光と黄昏
アインシュタインの相対性理論、量子力学、そして原爆を生んだオッペンハイマーのマンハッタン計画から、コンピュータ、ニュートリノへ――。物理学が科学のみならず知・経済・社会のあらゆるシーンにおいて「王者」として君臨した時代を、自身も一線の物理学者として活躍してきた著者がダイナミックに活写。
「黄昏」も囁かれる時代の転換期、「ものの見方」を探究する物理学の現状とあるべき未来をも示す、無二の証言にして提言の書!

 

アインシュタインの相対論は時間と空間の概念を一変させ、ミクロな世界を解明したハイゼンベルグらの量子力学は、見えている世界の常識を覆す新たな地平を拓いていった。この20世紀の物理学の驚異的な発展は、人類社会に絶大な影響を与え、物理学は、20世紀の知の王者として君臨し、原爆や、半導体、コンピュータを生み出し、諸々の分野を進展させてきたと言える。

 

21世紀はバイオなど「生物学の時代」と言われ、物理学の黄昏がささやかれる時代の転換期に、物理学の進展の歴史を振り返り、現状を確認し、あるべき未来を探す。

 

 

本書の原本『物理学の世紀――アインシュタインの夢は報われるか』は、1999年に集英社新書から刊行された。

本書執筆から四半世紀が経過した2024年2月、「文庫版へのあとがき」が追加されている。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

日本を代表する宇宙物理学者が書いた、大学での物理を真面目に勉強したか、少なくとも概説本をいろいろ読んで、おおよそに物理について知識のある人が、20世紀の物理の流れを把握するための本だ。

 

『物理学の世紀」ともいうべき20世紀の物理学を、駆け足で全て網羅し、説明している。それぞれの理論の基本のエッセンスだけは簡潔に説明しているので、詳しく知っている人は、それぞれの分野がどのように発展し、影響を与え合ってきたかを俯瞰的に把握できるだろう。
中途半端の知識があるだけの私は、難しい所はわかったつもりになって読み飛ばして、流れだけを汲み取るようにして読んだ。それでも、成る程と面白かった。

 

物理研究の成果がどのように影響しあい、積み重なって発展していったか、停滞し、そして爆発的に進展していったのかが良く分かる。

 

 

佐藤文隆(さとう・ふみたか)

1938年,山形県生まれ。1960年京都大学理学部卒業,1964年同大学院中退。1974―2001年京都大学教授,基礎物理学研究所長,理学部長を歴任。2001―2014年甲南大学教授。

京都大学名誉教授。専攻は一般相対論,宇宙物理学。

トミマツ・サトウ解の発見などの業績を上げるとともに,啓蒙書の執筆も多数手がける。

著書に『アインシュタインが考えたこと』『宇宙論への招待』『科学と幸福』『現代の宇宙像』『量子力学のイデオロギー』『職業としての科学』『佐藤文隆先生の量子論』『量子力学の100年』など。

 

 

メモ

核磁気共鳴は、核への恐怖を取り除くため「核」という言葉をわざと避けて、磁気共鳴イメージング(MRI magnetic resonance imaging)と名付けられた。

 

コメント
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