hiyamizu's blog

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首藤瓜於『ブックキーパー脳男』を読む

2021年09月17日 | 読書2

 

首藤瓜於(しゅとう・うりお)著『ブックキーパー脳男』(2021年4月19日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOK倶楽部の内容紹介は以下。

乱歩賞史上最強のダークヒーローが帰ってきた!

驚異的な知能を持ちながら「心」のない男と、警察庁の華麗なるエリート警視が頭脳対決!

警視庁で開発中の異常犯罪データベースによって遠く離れた場所で相次いだ三件の殺人事件にはすべて拷問の痕があると判明し、続いて愛宕市でも氷室財閥当主が犠牲者に。異常犯罪のエキスパートとして現地に急行した警察庁の若き女性警視・鵜飼縣は茶屋警部を従えて捜査にあたる。一方、同市の鞍掛署は秘かに謎の老人の行方を追っていたが、発見した途端に鈴木一郎=脳男が現れて妨害する。鞍掛署にはまた署をあげての交通事故隠蔽疑惑があり、真相を探ろうとした茶屋のかつての部下が殺される……。
鍵を握る「ブックキーパー」とは何者か? 残虐な連続殺人事件の真相とは? そして神出鬼没の脳男=鈴木一郎が戻ってきた理由とは? 『指し手の顔』から十四年、乱歩賞受賞最大の問題作「脳男」シリーズがさらにパワーアップして登場。総勢六十名以上の人物を見事に描き分け、テンポよく切り替わる場面に目が離せない、エンタメの王道を行く超弩級サスペンス巨編。

 

620頁の大部で、書き下ろし。首藤瓜於のデビュー作『脳男』は2000年刊行。第2作『指し手の顔 脳男Ⅱ』は2007年。さらにその14年後に脳男Ⅲである本書が刊行された。

 

全国にばらけた拷問事件の被害者3人がそれぞれ利用した通販会社、レコード店、紳士服店が、いずれも愛宕市(おたぎし)にあることを、警察庁の鵜飼縣(うかい・あがた)と桜端道(さくらばな・とおる)はネットとコンピューターを駆使したデータ・マイニングで調べ上げた。

 

中部地方の愛宕市で、氷室財閥当主・氷室賢一郎が拷問されて殺された事件が起こる。おなじみの巨漢・県警本部の茶屋警部が現場に駆け付けるとそこには黒いレースのワンピースを着た女がいて、犯行方法を解説してみせた。縣だった。しかも警視だという。

 

けなし合いながらも息の合う茶屋と縣はともに捜査を進める。70代、白髪頭、身長150㎝前後としか分からない謎の老人と、連続猟奇殺人を重ねる男を、犯罪集団と競って追う。そこに「脳男」もちらりと姿をみせる。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

間違いなく面白かったのだが、大部である上、登場人物が多すぎてくたびれた。一回限りの登場人物にも振り仮名付きで名前が書いてあり、60人以上では一気読みしないかぎり、誰が誰だかわからなくなる。私は、付箋を付けまくり、小休憩する度に、パソコンに各人物のメモを入力しながら読んだのだが。

 

謎はなんとなく想像できる範囲内だが、3つどもえの争いなので、敵味方が途中混乱しそうになる。

 

脳男の登場場面が少なく、物足りない。以前から登場していた茶屋も、新登場の縣もキャラが立っていて楽しく読める。

 

首藤瓜於(しゅとう・うりお)

1956年栃木県生まれ、上智大学法学部卒。会社勤務等を経て、
2000年に『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。

他著に『事故係 生稲昇太の多感』『刑事の墓場』『指し手の顔 脳男Ⅱ』『刑事のはらわた』『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』、本書『ブックキーパー脳男』がある。

 

 

 

以下総勢60人以上の登場人物のうち、読みながらメモした約30名をご紹介。

 

鵜飼縣(うかい・あがた):女性警視、警察庁監察官兼警視庁捜査一課与件記録統計分析係・第二分室室長。身長172㎝。帰国子女。

桜端道(さくらばな・とおる):鵜飼の部下。元プロのハッカー。目の前の膨大な物を一瞬で数えられる。

近藤庄三:55歳、北海道で、今年の1月20日自宅風呂場で指を切り落とされ拷問され脳挫傷で死亡。こだわりの家具、高価な車を所持。本当は祖谷(うばがい)正義60歳、顧問弁護士。

山本花子:39歳、千葉県で、1月28日自宅リビングで足の指を潰され拷問され失血死。希少価値のレコードを大量に所持。本当は池畑純子40歳。住込み家政婦。

桜井守:72歳、長崎県で2月15日、自宅地下室で性器を焼かれ拷問されショック死。多量の高価な服を所持。本当は朽木(くちき)圭三73歳、お抱え医師。

鷲谷(わしや)真梨子:係累なし。声が出ない。鈴木一郎の精神鑑定をした医師。

氷室友賢(ひむろ・ともかた):愛宕市に住む氷室財閥当主。入陶(いりす)家の事業も引き継ぐ。

氷室賢一郎:友賢の一人息子で当主。55歳。足の指を切り落とす拷問の上、2人の男性と共に地下室で殺された。

鈴木一郎:脳男。心を持たない男。入陶倫行の孫で氷室友賢に庇護された。火傷手術後で保護器具を頭にかぶっていた。指名手配中。

頭師(ずし)倫太郎:70代の老人。氷室家に仕える。

能判官古代(のうじょう・こだい):2年前に93歳で亡くなった能判官秋柾(あきまさ)の一人息子。交通死亡事故加害者だが逃された。

 

茶屋:県警本部の刑事。巨体。

二輪(にわ)県警本部監察課。百武に石長所長を探るよう脅す。相原は部下。

石長勝男:鞍掛署所長

木村、中村:鞍掛署の刑事。元暴走族。

百武勲:鞍掛署生活安全課。茶屋に可愛がられたことがある。暴力団員から金を借りて県警本部から左遷。係長は久米西野と、仕事しない兎沢(とざわ)は同僚。

蓮見:初音署の刑事。相棒は栗橋

鹿内:問題児の溜まり場である動坂署の刑事課長で鹿内総業総帥・安太郎の息子。所長は桐山。刑事課に雨森

 

森下孝:3年前に愛宕市で起こった自動車事故で、20歳で死亡。

有坂優子:フリーランスのジャーナリスト。森下孝の自損事故は、目撃者の貝沼さゆりからの手紙では、隠された加害者がいるとの報せをもらい、死亡の事故を調べ始める。31歳。

吉野智宏:フリーランスのジャーナリスト。有坂優子と競争したり協力したり。35歳。

 

斎藤工作:IT会社を設立し成功した会社を整理して愛宕市に引退。殺人鬼で、国立大学院生の柘植龍男、会社重役の三浦里子を襲う。

日馬(くさま):愛宕セキュリテイー・システムを運営。秘書は関口、部下に三枝、時森、潮見

 

 

 

お勉強

塒(ねぐら)

顫(ふる)えがくる。顫動(せんどう)

話柄(わへい)を変える。話題。

 

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1 コメント

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こんばんわ (orai)
2021-09-17 17:36:47
ものくろ往来のブログにお越しいただき
ナイスまでいただきありがとうございます。
またお邪魔したいのでフォローさせてください。
よろしくお願いします。
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