hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

私と計算

2023年08月04日 | 昔の話

 

私は算数も数学も才能はないのですが、好きでした。ロマンがあって、面白いですよね! でも、単純計算は嫌いでした。

小学生の夏休みの宿題で、大量の計算問題が出ました。やり方は分かっているのに同じ事を繰返しても意味がないと単純に考え、答えの欄にでたらめな数値を延々と書いて提出しました。
休み明けに答え合わせがあり、順番で答えを読み、皆が「あってます」と唱和する。私の番になり、でたらめの答えをそのまま読むと、皆が「違ってます」と声をあげる。「いけねえ」と頭を書きながら座りました。

その場はしのぎましたが、罰は社会に出てからやってきました。電卓がどこにでもある時代になっても、手計算、暗算は必要で、私は早くできず、ちょっとしたハンデになっています。

 

 

以下、計算機の話

研究所務めだったので計算機はとくに若いときは良く使ったが、コンピュータの専門家ではないので、以下、利用者からみた計算機の昔話をしたい。

そろばん
子供の頃、母が使っていたそろばんが5つ玉だった。見ていると、下の段の5つ目の玉は動くことが無い。
「その玉はどうしてあるの?」と聞くと、母は困った顔をして、「そうねえ」と言うばかりだった。小学校で買わされたそろばんは4つ玉だった。いまだに、なぜ昔々のそろばんは5つ玉だったのかわからない。

計算尺
最近の人は計算尺なるものをご存知なのだろうか。30cmくらいの長さの板状の計算道具で、桁数は暗算で求め、有効数字3桁ほどの乗除算を素早く求めるのに使う。2つの数の掛け算がlogをとると足し算になることを利用している。工学系の計算に便利で、1970年ぐらいまで良く使った。
もっと有効桁数が必要な場合は、7桁の常用対数表という丸善から出ていた冊子をめくって対数計算で乗除算の答えを求めた。

タイガー計算機
数値をセットして、ハンドルを回すと答えが出る手回し計算機械だ。中味は歯車の固まりで、論理機械の傑作、究極の姿だと思う。加算減算もできるが、乗算は123*456なら、123をセットし、まずハンドルを6回転し、桁送りしてから5回転し、さらに4回転すると答えが得られる。面白いのは除算で、除数をセットしハンドルをマイナス回転していくと、チーンと音がしたら1回転戻す。大学の研究室で、大勢並んで計算していると、あちこちでチーン、チーンと音がしたのを思い出す。
概算を求めるときは計算尺で、正確な値はタイガー計算機を使ったものです。

ファシット計算機
タイガー計算機の歯車をモータで回すような仕組みのもので、AC電源が必要だった。会社に入ったらタイガーがファシットになっていて、やはり金があるところは違うなと思いました。

計算尺、タイガー計算機、ファシット計算機ともに、電卓が出てきてあっと言う間に駆逐されました。

電話機での関数計算
あまり一般的ではなかったと思いますが、電電公社(現NTT)のセンタ(多分、DRESSか、DEMOSといったと思います)に接続し、電話機からダイヤル入力し、音声で回答を得る方法がありました。

具体的には、接続状態で、プッシュホンのダイヤルの組合せで計算したい関数を登録します。あとは計算したい数値を入力すると合成音声で回答が聞こえます。

例えば、実験結果の分散値などを求めるのに便利でした。私は、右に置いたデータ用紙を見ながら、左の電話機ダイヤル上で、左手でブラインドタッチでデータ入力をして、電話機に差込んだイヤホーンで回答を聞いて、右手で結果を用紙に書き込んでいました。
このおかげで、電卓にとって代わったときに、電話機と電卓のキー配置が異なるため、しばらく電卓入力に苦労しました。電話機は当時CCITTという通信関係の国際機関が標準を決め、計算機はISOが標準を決めていたので、両者のキー配置が異なってしまったのです。

電卓
継電器と言われるリレーを用いたリレー式計算機と言うものがあったようですが、私には記憶がありません。1960年代にはトランジスタを使った電子式計算機が登場、普及しました。70年代に入ると、LSIが使われ、AC電源から電池に代わったので一気に普及し、四則演算は電卓と決まりました。

関数電卓
SIN、COS、ルート、指数など関数が使える手の上に乗る電卓がYHP(現HP)から1970年ごろ販売され、手にしたときは驚きでした。今でも端が少し立ち上がった黒っぽい薄いきょう体に、ずらっと並んだ小さなキーと赤いLED表示を思い出します。センタの大型計算機と電話機の組合せが、小さな関数電卓に完全にやられたと思いました。

大型コンピュータ
メインフレームと呼ばれる大型コンピュータはIBM360がもっとも有名です。私の属する研究所にはIBM360を追って開発されたNECのNEACなど(富士通のFACOM、日立のHITAC)があり、専属のオペレータがいる計算機室の棚にプログラムを時間までに置いておくと、夜計算機にかけ、翌日プログラムリストと計算結果が打ち出された紙が棚に置いてあるというシステムになっていました。

プログラムは、FORTRANという数式ほぼそのままのような言語で書きます。FORTRANはBASICとほぼ同じような言語です。コーデイングシートに手書きして、英文タイプライターのような端末から入力すると、確か80カラムの穴が開いたIBMカードが1ライン、1枚できます。このカードをライン数だけ束にしたのがプログラムになります。紙テープに落とすこともできたと思いますが、テープだと順序を入れ替えるなどの訂正が容易でないので使いませんでした。

このカードの束の端面にマジックで斜め線を書いて順序を分かるようにしていました。カードの束を棚に入れておくと、オペレータが計算機にかけて結果のプリントアウトを棚に入れておいてくれる。一日一回の計算依頼しかできない。どこかバグがあれば、一日が無駄になる。

受付時間ぎりぎりで廊下を走り、転んでカードをばらまき、整える時間がなく、だめなのはわかっていたが、そのまま棚に入れた。プログラムリストを紙に打ち出してもらえるので、翌日カードをそろえるのが楽なのであえて「Fatal Error」をもらった覚えがある。
繰り返し計算させてある値の範囲に収束させるプログラムで、収束条件を厳しくしすぎて、と言うか発振条件だったので、数時間計算機を無駄走りさせたこともあります。

μCマイクロ・コンピュータ
1971年、μCマイクロ・コンピュータが登場した。私の場合は、マイコンを主に機器の制御に使ったので、マイクロ・コントローラといった方が良いかもしれない。数式そのもののようなFORTRANを使って数値計算プログラムを作っていた身には、計算機の構造を理解し、アキュムレータだの、レジスターだのを頭においてプログラムを書くのは足し算一つでも大変だった。当時は確か単純な4ビットCPUだったのですが。

プログラマーに作ってもらい、使いながら一部を自分で変更するのがせいぜいでした。しかしながら、実験装置の制御は従来作りこみで固定だったのを、マイコン制御にして、状況にあわせてプログラムで変更できるのはたしかに便利でした。

初期のパソコン
1977年ごろ8ビットCPUを持つトレーニング用組立マイコンキットTK80が販売され、いたずら程度にさわっていました。
1980年ごろ、アタリ社のパーソナルコンピュータで、確か磁気テープからプログラムをロードして、テーブルテニスや、インベーダのゲームで遊んだ覚えがあります。
1983年に8ビット機の統一規格「MSX」が提唱され、各社対応パソコンが販売されました。個人的に購入し、ROMで出来たゲームソフトを買ったり、簡単なゲームを作って遊んだりしたが、すぐあきてしまった。また、この規格も半導体のすさまじい進歩によって、あっという間に時代遅れとなってしまった。

ワープロ
ワープロは、親指でシフトするOASYSキーボードでブラインドタッチで入力していた。不思議と、パソコンに向かい最初の1,2文字打つと、自然にQWERTY配列でブラインドタッチできる。
私の場合、紙に書いたものをワープロで清書するという使い方は少なく、内容や文章を考えながらワープロを打つことが多い。したがって、入力速度はそんなに厳しく要求されないが、ブラインドで打つと、目がディスプレイを見たままになるので、考えが中断されない。

大学で自由選択科目だったが、英文モールス信号を聞き英文タイプを打つ授業をとった。会社に入って、英文で論文を書くとき、下書きの英文を目で見ながら、モールスに直しつぶやく。すると、手が自然と動き、キーと打つ。そんな、英文、モールス、キーを繰り返していると、人間とは不思議なもので、いつのまにか、間が抜けて、英文、キーになっていた。

そして、現在へ
IBM-PCが1981年発売になってから現在までの進展は私には一瞬に思える。
パソコンOSもMS-DOSからWindows3.1、95、2000、XPと複雑で重くなっていったが、ハードの速度、記憶容量が飛躍的に向上して行ったので使い勝手はたしかに良くなっていった。XPで安定性も増した。自宅のパソコンもいったい何代目なのかわからなくなった。

退職した現在では、メール、ブラウザの他は、主にワードを使い、エクセルを時々、会社でよく使ったパワーポイントは使う場がない。あとは、Paint Shop Proで遊び、HTMLでホームページを作るくらいで、プログラムとは縁遠い世界にいる。

 

「想えば遠くに来たもんだ」

 

 

ほとんどが、2006年6月17日の「計算機昔話」の再掲でした。

 

 

コメント
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