hiyamizu's blog

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新川帆立『元彼の遺言状』を読む

2021年04月17日 | 読書2

 

新川帆立著『元彼の遺言状』(2021年1月22日宝島社発行)を読んだ。

 

宝島社の特設サイトのあらすじ

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と三ヶ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円ともいわれる遺産の分け前を獲得すべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。
他方で、彼女は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、軽井沢を訪れて手続きを行ったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう……。

 

第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作

 

登場人物

剣持麗子:渉外系大手弁護士事務所勤務。28歳。年収2千万円近く。父は雅紹、母は菜々子、兄・雅俊の婚約者は優佳。

信夫:麗子にプロポーズ中。理系研究者。

篠田:麗子の大学ゼミの先輩で英治の親友。インフルエンザを英治にうつしたとして遺産受領を麗子に依頼。

森川金治:森川製薬社長。英治の父で、母は恵子。

森川富治:金治の長男、英治の兄。文化人類学者。森川製菓にはまったくかかわっていない。

森川英治:大企業森川製薬の資産継承者。インフルエンザで死亡。イケメンでナルシスト。麗子の3つ前の彼氏。

森川真梨子:金治の姉。英治の伯母。

森川定之:森川製薬専務。金治の姉・真梨子の婿。英治の伯父。

森川拓未:定之・真梨子の息子、紗英の兄。英治のいとこ。

森川紗英:定之・真梨子の娘、拓未の妹、英治のいとこ。

森川銀次:金治の弟、英治の叔父。動画投稿で生計。

森川雪乃:拓未の妻。和風のか弱げな美人。

平井真人:森川製薬副社長。大株主の外資系投資会社から派遣。

原口朝陽:英治の看護婦で恋人。

村山権太:英治の顧問弁護士。60代の町弁。

堂上:森川家の犬・バッカスの面倒を見ている獣医。息子は亮。妻・真佐美は4年前に病死。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

ともかく面白ければいいんだろ!

 

まず、主人公のキツイ性格がスカッとする。金が第一で、すべて割り切って合理的。子どもや犬に嫌われる性格。好まない仕事はしないが、引き受けた仕事には忠実。まあ、まあ、読んでください。

 

出だしから、びっくり。恋人が差し出した婚約指輪の値段が100万円以下だと言って断る。「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という元カレの意味不明の遺言状。弁護を依頼されたが高々10億円の報酬だと拒否、その後、150億円と正確に計算して受託し、依頼者を殺人者に仕立て上げようとする。

 

 

新川帆立(しんかわ・ほたて)
1991年2月生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業。弁護士として勤務。司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、プロ雀士としても活動経験あり。作家を志したきっかけは16歳の頃、夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたこと。

宝島社の特設サイト の色紙にこう書いている。

「欲しいものは、自分で手に入れる
男が何度変わっても、女ともだちは変わらない

そんな私たちの、当たり前の日常を伝えたくて書きました

令和の女は強いぞ!」

著者へのインタビュー:「小説丸」 、「Pick UP」、……

 

 

男は元カノを美化しておくというけれど、本当にその通りなわけだ。その元カノのうちほとんどと連絡が取れなかったのだから、女の側では過去は過去としてどんどん忘れてしまうのだろう。(p136)

 

「ねえ、正直に話してよ。怒らないから」

雪乃は私をじっと見つめた。

潤んだ瞳が可愛らしいと思ったものの、これに騙されてはいけない。そもそも「怒らないから」と言って本当に怒らなかった女を私は見たことがない。(p165)

 

コメント
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