hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

ヒヤリハット

2021年04月26日 | 会社生活

 

台風一過、ベランダから久しぶりの富士のシルエットを眺めながら思い出した。

 

息子が小学生の頃、箱根にドライブ旅行をした。
曲がりくねった山道を快調に車で登っていくと、突然正面に大きく富士山が顔を出した。あまりに見事な富士なのに、後部座席の我が相方と息子は何事か話していて気が付かない。見えなくなってしまう前にと、「ほら、富士だぞ!」と振り向いて大声で注意した。瞬間、車は大きく傾いて凄まじい音がした。急なカーブを曲がり切れず、左側の車輪が道を外れた。

運よくちょうど見晴台の手前だったので側溝があって、車輪が溝に落ちた状態で止まった。わずかでもずれていたら車ごと崖下に転落していただろう。
しかし、我々だけではどうにもならず、途方にくれていると、山を下りてきたトラックの運転手さんが手伝ってくれて、側溝から脱出できた。

 

新聞などで見かける大きな事故や死亡事故の陰には、こんな肝を冷やした多くの軽い事故や、より多くの結果オウライがあるのだろうと思った。

研究所勤務が長かった私は、コストダウン、品質向上など小集団活動にはまったく縁がなかった。会社を変わり、工場勤務になったとき、「ヒヤリハット防止活動」を知った。
ヒヤリハットとは、重大な事故ではないが、大きな事故につながりかねなかった一歩手前の事故のことだ。なんでも重大事故の陰には29倍の軽度の事故と、300倍のニアミスが存在するらしい。工場での「ヒヤリハット防止活動」は、比較的よく起こる小さなヒヤリハットの事例を集め、分析し、予防法を共有することでその先の重大な事故を予防する活動だった。

 

原因はさまざまだが、人間はどんなに注意しても何万回に一回は必ず間違いを犯す。間違いを起こさないような仕組みにする、あるいは一人が間違っても別に人が間違いを確認できる手順にするなど、数十年に一度の大きな事故を引き起こさないために、ヒヤリハットの事例からの防止対策活動が有効だと思う。

 

皆さんも車の運転中は、どんなに衝撃的な美しい景色があっても、流し目でちらっと眺めるだけにとどめ、振り向いたりしないことをお勧めします。

 

余計な話

工場の壁に大きな字で、「俺がやらなきゃ、誰がやる」とスローガンが書いてあった。

しばらくして、また見ると、「誰が」の「が」の点が消され、「か」になっていた。

 

 

コメント
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