hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

福岡伸一『最後の講義』を読む

2020年08月13日 | 読書2

 

福岡伸一著『最後の講義 完全版』(令和2年3月31日主婦の友社発行)を読んだ。

 

表紙の裏にはこうある。

「あなたは人生最後の日に何を語りますか?」

NHKで放送され、大反響をよんだドキュメンタリー番組「最後の講義」が、本になってよみがえりました。本書は「最後の講義」を書籍化するに当たって、未放送だった部分も収録した完全版!

各分野のトップランナーが未来を託された若い世代へメッセージを送ります。

 

「西原理恵子」「大林宣彦」「石黒浩」の本と並んで、私の敬愛する福岡伸一氏の“最後の講義”の本だというのだから、読まざると得ない。しかし、「はじめに」を読むと、“最後の講義”の意味は以下だった。

もし何かの理由で明日私がきえてしまうとしたら、「今日のうちにぜひ、これだけは皆さんに聞いておいてもらいたい」ことをお話しする講義です。

 

虫オタクと顕微鏡

蛹(さなぎ)の中で何が起きているか現代でも解明できていないが、

幼虫の体をかたちづくっていた細胞がいったんドロドロに溶け、その中から成虫の体を作り出す細胞が現れ、蝶を作っていくということはわかっています。

 

食べ物は体で何になる

絶え間のない合成と分解によって、食べ物の原子や分子と自分の体の中は交換されています。胃や小腸や大腸など消化管の細胞はだいたい2日か3日で分解され入れ替わります。うんちの主成分は食べ物のかすではなく、分解され捨てられた細胞のかすなのです。筋肉は2週間ぐらい、血液の細胞は数か月で入れ替わる。脳細胞も細胞と細胞の配置は変わりませんが、細胞の中身は入れ替わっています。

 

動的平衡とは?

大きく変わってしまわないために、常に小さく変わり続けているのが私たちの体なのです。

 

地球で、重さでみて一番繁栄している生物は?

人間は全員合わせても3億トン。トウモロコシは家畜の餌として使われ、年間10億トン以上生産されている。トウモロコシは人間を奴隷のように働かせて繁栄しているとも見える。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

内容的には福岡さんのだいぶ前の著書『動的平衡』と同じだが、講義形式なのでよりわかりやすい。また、福岡さんが昆虫少年から研究者となり、フェルメールに魅せられるなどその人生を語っている点が、一流の研究者でありながら趣味が広く深い福岡さんのファンである私には興味深かった。

相変わらず素人にもわかりやすく、納得できる語り口は見事だ。

 

福岡伸一(ふくおか・しんいち)

1959年東京生まれ。2004年より青山学院大学理工学部化学・生命科学科教授。専攻は分子生物学。
1982年京都大学農学部食品工学科卒。

1988年ロックフェラー大学ポストドク、1989年ハーバード大学医学部ポストドク
1991年京都大学講師、1994年京都大学助教授
2006年科学ジャーナリスト賞受賞。『プリオン説はほんとうか?』で講談社出版文化賞科学出版賞受賞
2007年『生物と無生物のあいだ』サントリー学芸賞<社会・風俗部門>受賞。
2009年『動的平衡

その他、『プリオン説はほんとうか?』、『ロハスの思考』、『生命と食』、13人のエッセイ集『楽しむマナー』、大竹昭子『須賀敦子の旅路』への解説

 

 

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