hiyamizu's blog

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鴻上尚史『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談』を読む

2020年08月09日 | 読書2

 

鴻上尚史著『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』(2020年5月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

月刊誌「一冊の本」(朝日新聞出版)に連載し、それをネットのAERA dot.(アエラドット)で1週間に1本の割合で紹介した人気人生相談。 本書にはその中から27の相談と回答が収められている。

鴻上尚史のほがらか人生相談』の第二弾。

 

相談5「これまで容姿に対する男性の態度・言動に、ひどく傷つけられてきました」

多くの男達は、自分のことを「見る性」だと思って、女性を「見られる性」だと決めつけています。男達の中で「イケメンに限る」という言い方があります。しかし、多くの女性は、恋愛対象は「イケメンに限ることはない」と思っているはずです。

「ぶさいく村・心優しき地区」に住む男達は、自分がされたら嫌だから、美醜を口にし、態度を変えるということをしないのです。微笑みましょう。無理せず、頑張れる範囲でポジティブになりましょう。

 

「あとがきにかえて」

演劇の現場では、お節介なおじさん俳優達が、演技に悩む若手女優の相談相手に積極的になろうとします。効果的ですが続けているうちに若手女優は若手ではなくなり、おじさん俳優達は去っていきます。残されたのは「自分の頭で考えたことない、もう若くない女優」です。

僕は、演出家として、正解だと思うことを先取りして言わない、誘導尋問の形で答えを導き出さない、なるべく俳優が自分の頭で考えるように進める。「ほがらか人生相談」も基本的にはこのスタンスでやっています。

相談・回答の結果にかかわらず、「その結果、あなたが幸せになるなら、僕は本当に幸福です。んじゃ。」

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

私が、人生相談を読む楽しみには、人の不幸を覗き見て、こっそり笑う楽しみと、回答者の意外な答えや、あまりにも割り切った考えに、「うーむ」と感心することになる。

私がもっとも感心する人生相談は、上野千鶴子さんの極端なほど合理的な回答だ。

 

この鴻上さんの人生相談は以上の範疇には入らないが、ついつい読んでしまう。相談はどこにでもある日常の問題で、それだけに回答は当たり前といえば当たり前の答えだ。ただ鴻上さんの語り口がふんわりと包み込むようで、いつのまにか「そうかも。まあそうだよな」と納得というか、気持ちを収めてしまう。

 

 

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)
作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。

在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。

95年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞

2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲・シナリオ賞受賞。

現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける

著書に『「空気」と「世間」』『不死身の特攻兵』『鴻上尚史のほがらか人生相談』『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談』『英語とわたし』(著者23人の一人)など。

 

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