hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

椰月美智子『未来の手紙』を読む

2014年06月17日 | 読書2

椰月美智子著『未来の手紙』(2014年4月光文社発行)を読んだ。

BOOK WITH YOU「小学生高学年から」という子供向けの本だ。

五年生になってぼくはいじめられるようになった。ぼくは未来のことだけを考えることにした。今のぼくから未来のぼくへ手紙を出す。未来のぼくはいつだってたのしそうだ。友達もたくさんいて、夢もかなう。二十通の手紙は、毎年ぼくの元へ届けられ、そして、ぼくは三十三歳になった。ある日、もう来るはずのない「未来の手紙」が届く。それは、悪夢の手紙だった―。


「しいちゃん」
のりえ12歳の母は32歳。近くに住むその母しいちゃんは51歳と若い祖母。
しいちゃんいわく「あの子がやったことのなかで唯一感心したのは、大学生のときに子供をつくったことだけよ。あんな真面目で四角四面な子が、やるときゃやるじゃないのって思ったわよ。たいしたものだわ」とのこと。・・・お母さんはこの話を聞くと、頭から湯気を出して怒り出し、このときばかりは「あの不良ばばあ」と、・・・

悪口は伝染し、いじめにつながる。悔しい思いはノートに書く。

「忘れない夏」
両親が引きこもりになりそうな姉貴を心配して、突然、引越すと言い出す。中2のヤマトは転校すると友達に忘れられてしまうことを心配する。優勝を狙える野球のバッテリーも分解だ。

「未来の息子」
コックリさんのおまじないをしていた中2の理子の前に、突然、未来の息子だと名乗る親指くらいの小さなおじさん現れる。73年後から来たという。

「未来の手紙」
イジメに負けそうになった小5の瑠衣斗(るいと)は、楽しい未来の中学生の自分に手紙を出し、受け取り、読んで、励まされていた。やがて、33歳になった彼に突然、悪の手紙が届く。

「月島さんちのフミちゃん」
小1の時に事故で両親を亡くしたフミコ(中3)は、二卵性双生児の姉、兄と暮らしている。姉の瑛子は頭の後ろに口ができたと騒ぐし、兄のカンちゃんはかっこよいのにオネエ言葉だ。

「イモリのしっぽ」
幸野(こうの、中3)は、は、ホルマリン漬けを見たとたん、思わず生物部に入部してしまった。やがて、部長になり、3年になったので、2年の矢守くんに部長を譲った。コリドラス?好きな二人の話が弾む。コリドラスはナマズの仲間で成魚でも5センチにしかならない。

初出:2004年~2013年に双葉社、偕成社、光村図書出版から刊行


私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

「小学生高学年から」という本は、子供帰りしているとはいえ、私には付いて行きにくかった。謎めいた「未来の手紙」というタイトルに惹かれたのだが、今一つピンとこなかった。いじめについても、この本では軽くふれているだけで、心理状態を突っ込んではいない。
楽しく読めて、明日へつながる話が多いので、中学生には良いかも。


椰月美智子(やづき・みちこ)
1970年神奈川県生まれ。
2002年「十二歳」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
2007年の「しずかな日々」で野間児童文学賞、坪田譲二文学賞を受賞
2009年『るり姉』『ガミガミ女とスーダラ男
「WEB本の雑誌」「作家の読書道」「第102回:椰月美智子さん」(写真あり)は、藤原ていの『流れる星は生きている』を感動した小説にあげていたが、その理由が、自身は幼い二人の子を連れてスーパーへ買い物に行くだけで、クタクタなのに、満州から3人も子供を連れて帰るなんて考えられないというもの。
コメント
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