ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~白雲から差す、瑞線~

2012-11-28 | 散華の如く~天下出世の蝶~
甲高い声と脳を突き刺すような汚い言葉。
ズキッ、突き刺さる醜き声で頭痛がする。
こやつも、裏で…、
生駒「あら、濃姫様。それ、見せて下さいませ」
ふわ…と、白雲のような手が差し出され、
ささ…と、それを遮る理由も見つからず、
帰蝶「…はい」
白い手に、銀の水引を静かに置いた。
銀糸から伝わったのは、彼女の体温。
「さ…寒いのか?」
生駒「いえ、最近いつも、こうなのです」
私の結った水引を米神まで上げて、
くるりと返し、
「私、不器用で…」
薄く白くはにかんだ。
帰蝶「最近…?」
生駒「あ…ややが、」
妊娠初期の冷えと分かったが、
線の細さ、透ける肌が気に掛かる。
代謝低下、血行不良、貧血めまい。
帰蝶「確か、三人目だったな?」
生駒「えぇ、もう慣れましたわ」
帰蝶「…慣れるモノ、なのか?」
私は、三度の流産に慣れを感じた事は、無い。
その時々で、宿った魂と流れた胎児に泣いた。
一人ひっそり、隠れて、声を殺して、泣いた。
誰も知らぬであろうが、私にだって心がある。
正妻が、殿の大事なややを何度も流し、
殿に頭も下げぬ姫で無礼千万と罵られ、
「斯様冷たければ、ややも寒かろうに…」