ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~神の次は、坊主の出番~

2012-11-12 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「…呑気な坊主じゃな。そなたも殿に従い、行くのであろう?」
あの、最強を誇る駿府今川大軍の戦に、
沢彦様も参謀指揮官として出陣される。
沢彦「神頼みはここまで。次は坊主が出張らねば、御霊も成仏できますまい?」
先達て、尾張氏神を祀る津島と、尾張熱田で戦勝祈願式が執り行われた。
帰蝶「殿に勝算あり…と、仰せか?」
沢彦「雪斎(今川義元の軍師、元 戦国武将の坊主)亡き後、駿府を叩くは今しかあらず」
殿は御出陣後、梅雨が明けるまで時を待ち、
ぬかるみに鉄砲隊を張り巡らせ、今川軍を待ち受け、一斉攻撃。
ひるんだ本隊を殿が総攻撃、一点集中で、今川のみの首を狙う。
これは勝利した後に、家臣たちから聞いた内容で、
殿は、私にさえも、戦法戦略を、決して語らない。
“二足で帰って来た、それ以上の土産、どこにある?”
私の心配をよそに、ふん、とすかして帰って来られる。
帰蝶「沢彦様…殿を、お頼み申し上げます」
沢彦「頼まれるまでございません。よくよくあの若を、ここまで揮い立たせて下さいました」
帰蝶「…あの…一つ、聞いても宜しいでしょうか?」
沢彦「一つと言わず、二つ三つ、仏事を語るは坊主の役目…」
帰蝶「いえ、仏様の事では、ありません」
沢彦「…と、仰いますと?」
帰蝶「御坊様とは、もっと、こう…何というか、…」
私の知る限りでは、いつも、ニコニコとして、
布施すれば、さらに高らか、お経を読み上げ、
寄進すれば、徳を積んだと満面に説法して…。
沢彦「経を読まぬ坊主が珍しいですかな?」
帰蝶「…珍しいも何も…、御坊様を比べる程、私に、左様な知り合いはおりません」
沢彦「坊主にも斯様生臭と、生まれ持った高僧がおりまする、故にございましょう」
帰蝶「私は、あなたを、生臭と思った事など、一度も無い。ただ、」
沢彦「ただ…?」
帰蝶「殿を、若と、呼ぶのは、沢彦様…あなただけだわ」