ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~女は、嫌いじゃッ~

2012-11-23 | 散華の如く~天下出世の蝶~
沢彦「捕縛には、ちと意味がありまして…」
帰蝶「え?」
不意に、
沢彦様から、ある書を渡された。
「これは、何の経典にございますか?」
沢彦「式部之書にございます」
帰蝶「式部…教養書…」
ぺらぺら…と捲り、中を拝読し、
「嫌味か?」
香道、かるたにお手玉、刺し子に水引折り形(折り紙)…
私が、最も苦手とする女子の戯れに出よ、と?
沢彦「いずれ…」
帰蝶「好かん。女の戯れ等、嫌いじゃ」
教養書を突き返そうとしたが拒まれた。
沢彦「いずれ、帰蝶様は姫君の長と成られる」
帰蝶「…」
分かっている。
殿の夢の構想の一つ、教育。
戦では、読み書きの出来ぬ農民を徴収し、隊に付かせるのが通例だった。
しかし、烏合の衆では無駄死にを増やすだけで、戦の成果が上がらない。
“使えぬ人間をいくら募っても、勝てぬ”
志願兵を募り、戦の基本知識と集団生活の秩序を叩き込み、所謂、軍隊を編成していた。
また、家臣の子を集め、礼儀礼節、武士としての嗜み、立ち振る舞いを教えるなど、次代を担う若手育成にも力を入れておいでだった。
「…で、私には、姫たちの教育をしろ、と?」
沢彦「察しが宜しいですな」
帰蝶「御断り致します」
女は、好かん。
扇で口を隠しても、分かる。聞こえる…あの厭らしい声が、
“あれが蝮の娘 帰蝶だ”