「え…と、吉法師様?」
一瞬、何を仰っているのか分からず、この坊主、困惑致しました。
“あ…と、経は読まんで良い。あれは、眠い”
「はぁ…」
いかん、この事態を何とか回避せねば…、
“そうだ、ちょっと待っておれ”
そこを動くでないぞと、ビシッと、やはり小さき人差し指で坊主の動きを制し、
やれやれ…ぽつねんと雅やかな大広間にお粗末な身なりの坊主が一人残されて、
広間中央から繁々と、絢爛豪華な屏風に襖、それらをのほぉんと眺めていると、
ガラッ
“こやつだ、こやつが、沢彦だ”
「え(・・;)?」
下手人(殺人犯)のように指差された私は、
ここ当代で吉法師様の御父上、信秀様と平手の政秀公の前に突き出され、
沢彦「この沢彦、後にも先にも、あれほど肝を冷やし時はございません」
帰蝶「まぁ、それは、それは、大変にございましたね」
沢彦様は、首を右に傾げて、あれは参りました…という仕草をなされた。
気難しい彼の意外な一面が垣間見れ、また、
殿の幼少期に親近感を覚えて、嬉しかった。
ほこっと真ん丸の餡菓子を連想し、心和やか、冷めた心が温かくなった。
沢彦「その後、政秀公に若のお相手を、と仰せつかりましたが…」
これまた苦労が絶えず、傾げた頭の米神に拳を当て、
うぅ~んと頭痛に悩む素振りを見せた。それもまた、
帰蝶「殿のお守りは、骨が折れましょうね」
分かる、分かるわ、私もよ。
と、一つ頷き、微笑んだら、
沢彦「まさに、拈華微笑…にございます」
帰蝶「え?」
今度は私が、沢彦様のお首とは逆、右に傾げた。
ねんげ?初めて聞いた言葉で、漢字が浮かばぬ。
一瞬、何を仰っているのか分からず、この坊主、困惑致しました。
“あ…と、経は読まんで良い。あれは、眠い”
「はぁ…」
いかん、この事態を何とか回避せねば…、
“そうだ、ちょっと待っておれ”
そこを動くでないぞと、ビシッと、やはり小さき人差し指で坊主の動きを制し、
やれやれ…ぽつねんと雅やかな大広間にお粗末な身なりの坊主が一人残されて、
広間中央から繁々と、絢爛豪華な屏風に襖、それらをのほぉんと眺めていると、
ガラッ
“こやつだ、こやつが、沢彦だ”
「え(・・;)?」
下手人(殺人犯)のように指差された私は、
ここ当代で吉法師様の御父上、信秀様と平手の政秀公の前に突き出され、
沢彦「この沢彦、後にも先にも、あれほど肝を冷やし時はございません」
帰蝶「まぁ、それは、それは、大変にございましたね」
沢彦様は、首を右に傾げて、あれは参りました…という仕草をなされた。
気難しい彼の意外な一面が垣間見れ、また、
殿の幼少期に親近感を覚えて、嬉しかった。
ほこっと真ん丸の餡菓子を連想し、心和やか、冷めた心が温かくなった。
沢彦「その後、政秀公に若のお相手を、と仰せつかりましたが…」
これまた苦労が絶えず、傾げた頭の米神に拳を当て、
うぅ~んと頭痛に悩む素振りを見せた。それもまた、
帰蝶「殿のお守りは、骨が折れましょうね」
分かる、分かるわ、私もよ。
と、一つ頷き、微笑んだら、
沢彦「まさに、拈華微笑…にございます」
帰蝶「え?」
今度は私が、沢彦様のお首とは逆、右に傾げた。
ねんげ?初めて聞いた言葉で、漢字が浮かばぬ。