ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~小さき命の、その灯~

2012-11-04 | 散華の如く~天下出世の蝶~
第六天も、地に堕ちた。
第六天は、なぜ、堕とされた?
堕ちた後、第六天は何をした?
沢彦「半分、正解にございます」
帰蝶「半分…」
沢彦「阿修羅の名は、戒名にございます」
父の戒名は道三。本名、斎藤秀龍。
謙信も信玄も、仏に帰依した戒名。
帰蝶「本名は?」
なぜ、呼んでくれない?
なぜ、答えてくれない?
母から捨てられた彼は、名を呼ばれる事すら無かった。
帰蝶「母親から、捨てられた…」
“似ておりませんか?”
沢彦「それ以来、悪さばかりをするようになりました」
優秀な弟と比べられる哀しみ。
母から疎まれて育った寂しさ。
大人に分かって貰えない幼心。
彼の素行の悪さは増すばかり。
母は、彼に辟易し、
彼を地に堕とした。
“そなたという、悪の根源を産み落とした私が間違いであった”
間違って、自分が産まれた?
間違いとは、どういう意味?
母から捨てられ、神々からも見放された…。
堕ちて、たどり着いた先は、地獄の地上だった。
地上には水があり、緑が風に揺れ、豊かだった。
そこで、水に堕ちた一つの儚く光る命を見つけ、
「俺たちにも、命があるのになぁ」
彼は、その手で消えそうな命の灯を掬い上げた。