アミクスは、じい~っと彼の言葉に耳をかたむけていた。
『講釈はここまでだ。アミクス、いいな。船団はいま、風に押されている。順調だ』
船は、順調に波を割って進んでいた。
『アミクス、地盤を押さえろ!』
彼は、先程の所作を再び慎重にくりかえした。オキテスは、鋭い目で時板を見つめた。そして脳漿をしぼって考えた。かれは、思考して下した決断が、船団の運命を左右するものであることを強く認識するとともに自分の判断が大きく重いものであることを思った。
彼は、あくまでも自分の意志、思考した結果で船団を導いていくことであり、『あ~あ、ラッキーっ!』と言う感覚の結果思考を斥けた。
この航海に成功する操船決断こそ、全船、いや、一国の民族の未来をかけた、ひとつの決断と位置づけていた。
彼は、観測した結果と基礎データ、目にするかすんでいるサモトラケ島、はるかに遠い大陸の景色、近づきつつあるイムロス島影を見て、できるだけ狂いのない現在の地点を割り出し、木板に書き込んだ。それと同時に船速に照らし合わせて、船出してから現在までに航走した距離を推測して木板の海図にA点かB点かの2点を記した。
その上で、方向転換点に到達する時間予測をした。
『おいっ!アミクス、今度送るのは松明二本信号だ。心しておけ。発する信号は方向転換信号だ。判ったな。そのときが来たら指示する。待機していてくれ、いいな』
『はい、判りました』
アミクスは緊張に満ちた返事を返した。
『講釈はここまでだ。アミクス、いいな。船団はいま、風に押されている。順調だ』
船は、順調に波を割って進んでいた。
『アミクス、地盤を押さえろ!』
彼は、先程の所作を再び慎重にくりかえした。オキテスは、鋭い目で時板を見つめた。そして脳漿をしぼって考えた。かれは、思考して下した決断が、船団の運命を左右するものであることを強く認識するとともに自分の判断が大きく重いものであることを思った。
彼は、あくまでも自分の意志、思考した結果で船団を導いていくことであり、『あ~あ、ラッキーっ!』と言う感覚の結果思考を斥けた。
この航海に成功する操船決断こそ、全船、いや、一国の民族の未来をかけた、ひとつの決断と位置づけていた。
彼は、観測した結果と基礎データ、目にするかすんでいるサモトラケ島、はるかに遠い大陸の景色、近づきつつあるイムロス島影を見て、できるだけ狂いのない現在の地点を割り出し、木板に書き込んだ。それと同時に船速に照らし合わせて、船出してから現在までに航走した距離を推測して木板の海図にA点かB点かの2点を記した。
その上で、方向転換点に到達する時間予測をした。
『おいっ!アミクス、今度送るのは松明二本信号だ。心しておけ。発する信号は方向転換信号だ。判ったな。そのときが来たら指示する。待機していてくれ、いいな』
『はい、判りました』
アミクスは緊張に満ちた返事を返した。