『道中、気を付けてな』
『ありがとう。ところで、一行のうち幾人かはこちらに残る、迷惑はかけない。宜しく頼む』
『判った。了解した』
『事の次第は、それだけだ』
二人は、滞在中の事の打ち合わせを終えた。
『少々遅れたが紹介する。こちらが俺が案内する族長のアヱネアスだ。そのアヱネアスに近侍するイリオネス、そして、そこで世話役を務めている俺の2番目の息子のクリテスだ』
『2番目の息子か、俺は知らなかったな』
『こちらが船長役を務めているギアス、あとは漕ぎかたの連中だ』
紹介された順にアヱネアスから対面の挨拶を交わした。漕ぎかたの一同も名を名のって挨拶をした。
パルモス浜頭は、彼らの対応を観察して、人柄を推し量り滞在中のあれこれを考えた。『不安はない、いいだろう』とした。
食事が進む、供された食材を賞味した。旨かった。
『しかし、アレですな。魚も獲れどこによって味が違うように思える。同じ魚でもここの魚は旨い!』
『族長!世辞が上手ですな。そのようなことはありませんよ。食材調理の腕前です。浜衆を褒めてやってください』
アヱネアスら、スダヌス、浜頭は身近なことを話題にして歓談した。
イリオネスは考えていた。世話になる礼にと持参した<方角時板>をいつ渡すべきかとそのタイミングを思案した。彼は、『これは早いほうがいい』と判断した。
彼は、ギアスを呼んで耳打ちした。
『判りました。行ってきます』
食事の場と船溜まりは隣接と言っていいくらいに近い距離である、座を離れたギアスは、間をおかずに戻ってきた。
イリオネスの<方角時板>外交である。イリオネスは、パルモス浜頭に声をかけて<方角時板>を手渡した。
『アヱネアス族長、イリオネス殿、これは何です?私が初めて目にする物ですが?』
スダヌスが浜頭の質問言葉を受け取った。
『イリオネス、俺が説明する。任せろ』
スダヌスは、浜頭と目を合わせた。
『パルモス浜頭、これはだな実に重宝な道具なのだ。不思議といえば不思議な道具でもあるのだな。この鉄の棒一本で方角がわかるという代物なのだ。この鉄の棒は、どこにでもある鉄の棒とは違う。常に一つの定まった方向しか指し示さない鉄の棒なのだ。まあ~、俺がやるからよ~く見ていろ!』
スダヌスは、鉄の棒に結んであるヒモの端を手でつまんで目の高さに吊り上げた。
『ありがとう。ところで、一行のうち幾人かはこちらに残る、迷惑はかけない。宜しく頼む』
『判った。了解した』
『事の次第は、それだけだ』
二人は、滞在中の事の打ち合わせを終えた。
『少々遅れたが紹介する。こちらが俺が案内する族長のアヱネアスだ。そのアヱネアスに近侍するイリオネス、そして、そこで世話役を務めている俺の2番目の息子のクリテスだ』
『2番目の息子か、俺は知らなかったな』
『こちらが船長役を務めているギアス、あとは漕ぎかたの連中だ』
紹介された順にアヱネアスから対面の挨拶を交わした。漕ぎかたの一同も名を名のって挨拶をした。
パルモス浜頭は、彼らの対応を観察して、人柄を推し量り滞在中のあれこれを考えた。『不安はない、いいだろう』とした。
食事が進む、供された食材を賞味した。旨かった。
『しかし、アレですな。魚も獲れどこによって味が違うように思える。同じ魚でもここの魚は旨い!』
『族長!世辞が上手ですな。そのようなことはありませんよ。食材調理の腕前です。浜衆を褒めてやってください』
アヱネアスら、スダヌス、浜頭は身近なことを話題にして歓談した。
イリオネスは考えていた。世話になる礼にと持参した<方角時板>をいつ渡すべきかとそのタイミングを思案した。彼は、『これは早いほうがいい』と判断した。
彼は、ギアスを呼んで耳打ちした。
『判りました。行ってきます』
食事の場と船溜まりは隣接と言っていいくらいに近い距離である、座を離れたギアスは、間をおかずに戻ってきた。
イリオネスの<方角時板>外交である。イリオネスは、パルモス浜頭に声をかけて<方角時板>を手渡した。
『アヱネアス族長、イリオネス殿、これは何です?私が初めて目にする物ですが?』
スダヌスが浜頭の質問言葉を受け取った。
『イリオネス、俺が説明する。任せろ』
スダヌスは、浜頭と目を合わせた。
『パルモス浜頭、これはだな実に重宝な道具なのだ。不思議といえば不思議な道具でもあるのだな。この鉄の棒一本で方角がわかるという代物なのだ。この鉄の棒は、どこにでもある鉄の棒とは違う。常に一つの定まった方向しか指し示さない鉄の棒なのだ。まあ~、俺がやるからよ~く見ていろ!』
スダヌスは、鉄の棒に結んであるヒモの端を手でつまんで目の高さに吊り上げた。